インフル 石川県内まだゼロ 先月29日まで 昨年同期は1445人

2020年12月4日 05時00分 (12月4日 09時55分更新)

専門家「南半球から渡航遮断 要因」

 例年の流行期に入っても、今季はインフルエンザの感染者が北陸も含めて全国で極めて少ない。石川県内は四十八定点医療機関から八月三十一日〜先月二十九日で報告が一人もいない。専門家は新型コロナ対策としてのマスク着用などの効果に加え、例年なら南半球から入り込むウイルスが渡航、入国制限で遮断された可能性を指摘する。
 定点医療機関は感染症の発生動向をつかむため各都道府県が指定している。
 石川県内で昨年同期の感染者は千四百四十五人に上った。富山県でも千九十四人いたが、今季は一人だけ。全国約五千カ所の定点医療機関から国への報告数も先月十六〜二十二日の一週間で四十六人。昨年同期の0・3%にとどまる。
 流行しない理由は何か。金沢大の市村宏教授(ウイルス感染症制御学)はコロナ対策で続くマスク着用や手洗い、三密を避ける行動が背景にあるとみる。さらに「秋冬のインフルエンザ流行は、その直前に南半球ではやっていたウイルスが人の移動によって国内に持ち込まれるため起きる」と指摘。人の往来が多いほど入ってくるウイルスも増える。「昨秋の流行は、ラグビーワールドカップで南半球から来た人が多かったため」と言う。今年は渡航制限で海外との往来が激減した。「ウイルスが持ち込まれず、かかる人が少ない」との見方を示す。
 「ウイルス干渉」の影響に言及する識者もいる。ウイルス干渉は、あるウイルスに感染すると他のウイルスに感染しづらくなる現象。ただし市村教授は「コロナの感染者が多くない北陸ではウイルス干渉によって流行が抑えられているとは考えにくい」と話す。
 一方、インフルエンザ予防接種のワクチンが一部の医療機関で不足し、接種を受けられない人も出ている。コロナとの同時流行に備え、早期に受ける人が多かったためだ。ある医薬品卸売業者は「在庫切れや不足から接種を断っている医療機関もある。追加発注があっても供給できる量は限られている」と話した。(辻渕智之、戎野文菜)

売り上げが減っている風邪薬。新型コロナウイルスによる予防意識の高まりが影響との見方もある=3日、金沢市西都のコメヤ薬局県庁前店で(篠原麻希撮影)


風邪薬が売れない
薬局「コロナで予防意識高く?」

 今冬は市販の風邪薬を買い求める人が少ない。一方でマスクやアルコール消毒液の売れ行きが伸びている。新型コロナウイルスの感染拡大で予防を徹底し、風邪をひく人が減っているとの見方もある。(榊原大騎)
 「昨年と比べると総合感冒薬が売れなくなった。予防がしっかりできているからではないか」。コメヤ薬局(石川県白山市)の長基健人副社長はそう語る。マスクは十月、前年同月比で五倍ほどの売れ行き。アルコール消毒液、ハンドソープや体温計の売り上げも好調だ。マスク着用が定着し、化粧品の需要が落ち込むという思わぬ影響も。
 長基さんは「風邪薬の売り上げ構成比は例年、確かに高いが、予防や衛生の商品が売れるのは薬局として正しい在り方。予防関連品にシフトしていかなければいけない」と戦略変更を視野に入れる。クスリのアオキ(白山市)も同様にマスクなどの予防関連品に売れ筋が移っている。
 調査会社インテージヘルスケア(東京都)の調査結果では、全国の市販風邪関連薬の売上額は十月、百十九億六千万円と前年同月比では21%減少だった。
 そのうち一位の総合感冒薬は七十一億九千万円と前年同月比24%落ち込み、コロナ感染拡大初期の二、三月に買いだめ需要で伸びて以降、前年同月に比べて少ない状況が続く。六月には、販売上位十位から総合感冒薬が初めて外れた。広報の担当者は「九、十月は風邪薬の売り上げが伸びる時期だが、今年は伸びていない。感染症予防が定着し、風邪をひく人が減っている」と分析している。

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