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GoTo見直し 迷走の度が過ぎないか

2020年12月4日 05時00分 (12月4日 05時01分更新)

 「Go To事業」が混迷の度を深めている。東京都など自治体は事業に危機感を強める一方、政府は期間延長を検討。一貫性を欠く中途半端な姿勢は新型コロナの被害を広げるだけではないのか。
 菅義偉首相と小池百合子都知事が一日会談した。その結果、「GoToトラベル」の東京発着分について、六十五歳以上や基礎疾患のある利用者に自粛を要請することになった。
 そもそも今夏にトラベルが始まった際、感染増加を懸念して都は除外された。今の状況はその当時より深刻化している。このため小池氏は首相に事業の一時停止を求めたが結局、一部自粛要請という形に押し切られた。
 この見直しについては「六十五歳以上と以下の夫婦の旅行はどうなるのか」「若い世代には旅行に行ってほしいという誤解を与えるのでは」などの疑問が噴出しても不思議はない。政府と都の考え方の違いも鮮明で、トラベルは方向舵(だ)を失っているようにみえる。
 自民党の下村博文政調会長は都知事の行動を「首相にまで行くことか」と批判した。だが国民の命に関わる喫緊の問題について首相と自治体トップが会談するのは当然だ。下村氏の発言は認識が甘いと指摘せざるを得ない。
 GoTo事業は菅首相が力を入れる政策であり継続の意志は固い。苦境に立つ観光産業も十月の国内宿泊数が前月から上向くなど政策効果は出始めている。
 観光のほか飲食関連にも効果があり経済対策として異論はない。ただ実施のタイミングや規模についてはメリハリがなく強い疑問が残る。GoToイートも含め、最も救済が必要な人々に支援が行き渡らず不公平との指摘もある。
 感染拡大を不安視する都など自治体側がブレーキを踏み、経済を優先させる国はアクセルを緩めようとしない。相反した対応は大きな混乱を招き、かえって経済にも一層の打撃を与えることになりはしないか。
 GoTo事業は経済的に余裕のある人々が旅行や飲食をすることで資金の好循環を促す政策であり、苦境に立つ観光や飲食支援は雇用面からも必要不可欠だ。
 しかし、感染の爆発的な再拡大が懸念される場合は、政府と各自治体が直ちに共同歩調を取り、一時停止を含めて極力柔軟に対応すべきだ。その後の事業再開についても、双方が議論を尽くし不公平な部分を修正した上で進めるべきである。 

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