故中村哲さん偉業を絵本に アフガンで読み聞かせ

2020年12月4日 05時00分 (12月4日 12時00分更新)
絵本の読み聞かせに聞き入る子どもたち=アフガニスタンで(ザビーフ・マハディさん提供)

絵本の読み聞かせに聞き入る子どもたち=アフガニスタンで(ザビーフ・マハディさん提供)

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 アフガニスタンで人道支援に取り組む非政府組織(NGO)「ペシャワール会」(福岡市)の現地代表だった医師中村哲(てつ)さん=当時(73)=が、同国で武装集団に殺害されてから四日で一年。事件後、現地のNGOが中村さんを題材にした絵本を出版し、日本語版が同日、刊行される。 (山中正義)
 このNGOは、二〇一六年設立の「ガフワラ」(アフガンの主要言語の一つダリー語で「ゆりかご」)。独自に作った絵本などを幼稚園や学校に贈っている。
 ガフワラは今年、二冊を出版した。一冊は、中村さんが現地で住民を守るにはきれいな水が必要と考え、用水路を建設する実話に基づいた本。もう一冊は中村さんから「魔法の小箱」をもらった子どもの物語だ。国際協力機構(JICA)の仲介で、大手通販会社「フェリシモ」(神戸市)が出版資金を支援した。
 ガフワラ代表ザビーフ・マハディさん(32)によると、絵本は首都カブールなどの都市部や農村部の学校、幼稚園などに寄付。新型コロナウイルスの影響で学校などが閉鎖された期間もあったが、読み聞かせを二十回ほど実施した。
 本紙はマハディさんを通じ、現地の子どもの感想を聞いた。少女アエシュ・カティービさん(15)は、中村さんが地元住民と一緒に用水路を掘り、清潔な水を確保した場面に触れ「団結することがとても大事。そうすることで変化が可能になった」とかみしめた。「中村さんは日本から来て私たちのために懸命に働いてくれた。私もやらないと。私にだってできる」
 日本語版は、アフガンで出版された二冊と解説をまとめた「カカ・ムラド〜ナカムラのおじさん」(双葉社)。カカ・ムラドはダリー語で「情熱おじさん」を意味する。売り上げの一部はガフワラとペシャワール会に寄付される。

◆国づくりつないで カレーズの会レシャードさんら

 静岡県内在住のアフガニスタン出身者からも、中村哲さんの功績が絵本で語り継がれることに期待の声が上がった。
 「伝えること、伝わることが大事。子どもたちが(絵本から)何かを感じて行動し、将来の国づくりにつながるといい」。中村さんと親交のあった静岡市のNPO法人「カレーズの会」理事長のレシャード・カレッドさん(70)は語った。
 会はアフガン南部で医療や教育支援に取り組む。「できることで支援することはいいことで、絵本にすることも大事。私も中村先生の活動をみんなが忘れないように現地でも日本でも伝えていきたい」と決意を口にした。
 沼津市で中古車販売会社を営むゾバイル・アハマド・フオルムリさん(33)は、中村さんのことを亡くなってからニュースで知り、心を痛めたという。絵本を一読し「中村さんのように人助けをする心が、子どもたちの中に生まれると思う。一度読めばずっと忘れない本。日本への友情も生まれる」と期待した。

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