疑似天窓が 心も照らす 福井大病院 実験で気分改善効果  

2020年12月2日 05時00分 (12月2日 09時49分更新)
照明器具を使った疑似天窓で映し出された映像=永平寺町の福井大病院で(パナソニック提供)

照明器具を使った疑似天窓で映し出された映像=永平寺町の福井大病院で(パナソニック提供)

  • 照明器具を使った疑似天窓で映し出された映像=永平寺町の福井大病院で(パナソニック提供)
 福井大とパナソニック(大阪)は、病院の待合室などの閉鎖された空間でも、照明器具を使った疑似天窓が来院者らの気分を改善させる効果があるとする研究結果を発表した。研究に携わった同大学術研究院工学系部門の明石行生教授は「ネガティブな病院の印象を変えられる」と期待する。 (籔下千晶)

「閉鎖空間印象変える」

 大規模な病院やビルの中心部では外とつながる窓を設置しづらく、開放感がない。照明で環境を改善しようと、照明器具と視覚の関係性に詳しい明石教授とパナソニック、福井大病院が共同で実験した。
 研究グループは昨年十月〜今年一月、同病院で外来病棟の待合室の天井に、天窓を模した発光ダイオード(LED)の照明を設置。「青空」「青空と木漏れ日」「水面」「サメが泳ぐ姿」の四パターンの映像をLEDライトで表現した。さらに照明と連動させて床にも同様の映像を投影。スピーカーで小鳥のさえずりや波音も流した。
 三十〜八十代の来院者延べ三百七十九人を対象に、独自のアンケートと、選択記入式の心理検査の一種「POMS2短縮版」を実施。演出効果がない場合と、それぞれの演出をした場合の心理効果を比較した。アンケートでは、多くの来院者が「サメが泳ぐ姿」と波音の組み合わせで「気を紛らわせられる」、「青空と木漏れ日」と小鳥のさえずりの組み合わせで「自然を感じる」と答えた。
 「POMS2」では「水面」と波音、「青空と木漏れ日」と小鳥のさえずりの二つの組み合わせで「活力・活気」の数値が高くなった。学生たちが来院者に直接聞き取った結果でも、八割の人が「演出があったほうが良い」と好印象を持ったという。
 研究結果は九月、照明学会全国大会で発表された。明石教授は「ホテルのロビーや交流施設にも活用できるのでは」、パナソニックの担当者は「オフィスなどの閉鎖空間でも開放感を提供したい」と話した。
 同病院では現在、「青空」と無音、「青空と木漏れ日」と小鳥のさえずり、「サメが泳ぐ姿」と波音の三パターンをランダムに表示している。

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