【石川】知的障害児の外出 後押し 交通ルール学習 実践研究

2020年12月1日 05時00分 (12月1日 10時06分更新)
知的障害児向けの交通安全教育の研究でダブル受賞した金沢大付属特別支援学校の吉岡学教諭=金沢市の同校で

知的障害児向けの交通安全教育の研究でダブル受賞した金沢大付属特別支援学校の吉岡学教諭=金沢市の同校で

  • 知的障害児向けの交通安全教育の研究でダブル受賞した金沢大付属特別支援学校の吉岡学教諭=金沢市の同校で

◇金大特別支援学校 吉岡教諭
特殊教育学会で受賞「社会とつながる一歩」

 知的障害のある子どもが主体的に行動範囲を広げる後押しをしようと、金沢大付属特別支援学校(金沢市)の吉岡学教諭(52)が、障害の特性に応じた交通安全教育のプログラムを開発した。研究をまとめた論文は本年度、日本特殊教育学会の実践研究賞などに選ばれた。「自分で好きな場所に行けることで子どもの知識は更新され、生活の質が上がる。社会とつながる一歩」と語る。(押川恵理子)
 児童は学校や放課後等デイサービスに車の送迎で通うケースが多い上、交通教育は全国の特別支援学校でも授業でほとんど教えられていない。「健常児は就学までに交通ルールを親から学べるが、知的障害のある子どもへの教え方は親も分からない。児童生徒に分かりやすい教材も不足している」と指摘する。
 考案したのは、屋内施設での模擬体験による学習と、路上での学習を組み合わせたプログラム。研究には二〇一六年当時、一人での外出の経験がなかった小学四年の男児二人と保護者らが協力。児童が一人で道路を目的地までまっすぐ歩いたり、横断歩道を安全に渡ったりできる能力をどう習得していくかを七カ月間にわたり調べた。
 研究では、まず学校から最寄りのバス停までの通学路(延長四百メートル)を児童二人が歩く様子をビデオで録画し、それぞれの歩行状況を分析。その後、信号機や横断歩道を模した装置を置いて路上を再現した体育館で、模擬体験する「シミュレーション学習」を繰り返した。成功率が八割に達すると、路上での実践に移った。
 交通ルールごとにシミュレーション学習と路上学習を繰り返す教育プログラムによって、児童は二人とも歩道を歩き、横断歩道を渡るまでの流れをほぼ習得した。
 ただし、シミュレーション学習で信号機の基本ルールを習得しても、実際の路上では信号機が複数あるため迷ったり、赤信号で待っている間に近くの看板などに注意を引かれたりする課題も明らかになった。「見やすい手元の信号機を設置するなど社会の環境を変えることが大切」と訴える。
 路上学習でバスに乗った際、顔見知りとなった地域の住民から「頑張ってね」と声援をもらった。子どもたちが学ぶ姿を見てもらうことも、社会のバリアフリーを後押しすると感じている。
 論文は本年度の三井住友海上福祉財団奨励賞(交通安全等部門)も受賞した。

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