旧優生保護法 県内女性訴訟関係者ら除斥期間の壁「残念」

2020年12月1日 05時00分 (12月1日 05時01分更新)
 旧優生保護法(一九四八~九六年)下で不妊手術を強いられたのは憲法違反だとして、聴覚障害のある大阪府の八十代男性、七十代妻と知的障害のある近畿在住の女性(77)の計三人が国に計五千五百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(林潤裁判長)は三十日、旧法を違憲と判断した。違憲性を認めたのは仙台地裁判決に続き二例目。
 静岡県内でも、静岡地裁と同地裁浜松支部で、不妊手術を強いられた女性が、国に損害賠償を求める同種の訴訟を起こしている。訴訟に関わる弁護士や女性らは、旧法を違憲とした判断については一定の評価をしたが、除斥期間を理由に賠償請求が棄却されたことに「残念」「不当」と割り切れない思いを残した。
 静岡地裁では、聴覚障害のある県内の女性が、不妊手術を強制されたとして二〇一九年一月、国に損害賠償を求める訴訟を起こしている。原告側弁護団の事務局長を務める佐野雅則弁護士は、大阪地裁の判決に「(賠償請求も含む)全体としての主張が認められなかったことは残念だ」と語った。一方で、「旧法の違憲性に踏み込んだことは一つ評価するべきだ。違憲性を認めなかった(六月の)東京地裁判決は一歩下がり、(今回は)一歩進んだ」と指摘した。
 静岡地裁浜松支部で損害賠償を求め提訴している浜松市の視覚障害者武藤千重子さん(72)は「旧優生保護法が違憲と判断されたのは良かったが、一方で除斥期間のため損害賠償を認めないのは矛盾する判断だと思う」と話した。
 訴訟の弁護団に参加する河野正弁護士は「違憲の判断は旧優生保護法に正面から向き合っており評価したい。ただ、除斥期間を適用したのは違憲を放置した責任を被害者に転嫁している。国が批准している拷問等禁止条約では、拷問被害者の救済を受ける権利の確保を義務づけており、除斥期間の適用は不当だ」と指摘した。 (三宅千智、高島碧)

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