中日春秋

2020年12月1日 05時00分 (12月1日 05時01分更新)
 求められるリーダー像とは。そんな質問に、日産自動車社長だったカルロス・ゴーン氏が答えている。それは、誰もが理解し、支持できるプランを持った人物であると。資質をもうひとつ挙げた。<透明性です>。目指す内容、実行の過程、結果を人々に明らかにする人であるべきだと。十五年ほど前の対談の一こまである
▼これに<全く同感です>と相づちを打ったのが、当時の官房長官で次のリーダーと目された安倍晋三氏だ。<政治の世界でも、国民と共有できる目標をしっかりと提示できるか>が大切だと述べる。力説する感じが伝わってくる
▼もともと新聞に掲載されたという対談は『安倍晋三対論集 日本を語る』という本に収められている。「透明性」という言葉に、めくる指が止まったのは、桜を見る会をめぐる問題で感度が若干上がっていたからだろう
▼もう国のリーダーの座にはない、前首相の昔の言葉である。過去の話なのかもしれない。が、なお透明性が大切とお考えなら、その姿勢をみせて、国民と事実関係を共有する時ではないか
▼持ち上がっているのは夕食会の費用を安倍氏側が補填(ほてん)していた疑いである。公選法に触れかねない話である。説明を尽くしてもらいたいが、真相は不透明なまま国会閉幕が近づく
▼前言に目を向けてほしくなるのは跡を濁して去ったゴーン被告もであろうか。ついでながら。

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