中日春秋

2020年11月29日 05時00分 (11月29日 05時01分更新)
 メキシコにペピタという貧しい少女がいたそうだ。クリスマスイブの夜、イエスさまのお誕生日を祝うため、何か贈り物をと考えたが、あげられるものがない。贈り物を買うお金もない
▼泣いているペピタをいとこのペドロが慰めた。「どんなにささやかなものでも心がこもっていれば贈り物をもらった人はきっとうれしいはずさ」。ペドロの言葉に励まされ、少女は道端の草を摘み、ブーケをこしらえた。心をこめてつくった。恥ずかしさをこらえて教会に持っていくと信じられないことが起きた。ブーケの草が美しい「花」に変わった。見たこともない真っ赤な植物に
▼原産国のメキシコに伝わるポインセチアの物語だそうだ。クリスマスを彩るポインセチアの出荷が今、最盛期を迎えている
▼深く優しい赤の色。寒い季節に心を温め、落ち着かせてくれるようだ。残念ながら、コロナの影響などで今年の出荷数はあまり期待できないと聞く
▼和名は「少女」ではなく「猩々(しょうじょう)」と関係がある。お酒が大好きな架空の動物である。酔って真っ赤になった顔の色になぞらえ、「猩々木」という
▼芳しくないという出荷を少々助けられたら。この猩々、単なる酔っぱらいの妙な動物ではなく、赤い色の効力によって疱瘡(ほうそう)などの病気から子どもを守ってくれると信じられていた。ありがたい名を頼って、一鉢ほしくなるコロナの冬である。

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