<ふくしま日記> 処理水、海洋放出へ 片山夏子(福島特別支局)

2020年11月29日 05時00分 (11月29日 05時00分更新) 会員限定
「今、トリチウムを海に流せば、魚は売れなくなる」と訴える小野春雄さん(中央手前)=福島県新地町の沖合で

「今、トリチウムを海に流せば、魚は売れなくなる」と訴える小野春雄さん(中央手前)=福島県新地町の沖合で

  • 「今、トリチウムを海に流せば、魚は売れなくなる」と訴える小野春雄さん(中央手前)=福島県新地町の沖合で
 雲が出ているのか、星は見えない。空も海も真っ暗な中、斜めにたたきつけるように揺れる船にしがみつき、カメラを構えた。
 先月末、福島県新地町で漁師歴五十三年の小野春雄さん(68)の船「第18観音丸」に乗せてもらった。東京電力福島第一原発でたまり続ける汚染水を浄化して放射性物質のトリチウムなどが残る処理水を、政府は海洋放出する方針を決めようとしている。原発事故から九年半。再び福島の漁業者に激震が走っていた。
 「今、流したら国民は魚を食べなくなると思うよ。われわれ漁業者は生活できなくなる。この十年我慢して我慢してきた。みんな肉体的、精神的に参ってる。自殺者出るよ」。海を見据える小野さんの表情は険しい。同町の釣師浜(つるしはま)漁港から北に約五キロ。一つ目の漁場に着く直前だった。

「流す前提」おかしい

 小野さんが最も頭にきているのは、政府の小委員会が「海洋放出が確実」と示してから、所属する相馬双葉漁業協同組合に国から説明が一度しかなかったことだ。「理想は放射性物質の半減期が来るまで地中保管すること。それができないんなら、国や東電は、われわれや国民と何度も何度も話し合って、ある程度納得して流すなら...

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