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【雨乃日珈琲店だより ソウル・弘大の街角から】(35)「十年を思う」 おめでとう に ありがとう 

2020年11月28日 05時00分 (11月28日 10時51分更新)
雨乃日珈琲店の10周年をお知らせする期間限定のウインドーは、ヨンワンさんのデザイン=ソウル・弘大で

雨乃日珈琲店の10周年をお知らせする期間限定のウインドーは、ヨンワンさんのデザイン=ソウル・弘大で

  • 雨乃日珈琲店の10周年をお知らせする期間限定のウインドーは、ヨンワンさんのデザイン=ソウル・弘大で
  • 『12345678910』(2020年)。10周年に合わせて制作したグッズのデザインとして
◇ 文・清水 博之  書・池多亜沙子
 二〇二〇年十一月十二日、雨乃日珈琲店は十周年を迎えた。思い返せばあっという間の出来事で、不思議な気持ちになる。オープン当初から来てくれるお客さんや友達をみても、結婚したり事業を始めたりと変化はあるにしろ、十年歳(とし)をとった感じがあまりない。
 それでも韓国、特に家賃の上昇が激しい弘大では、カフェが十年同じ場所にいることが珍しいらしく、こちらが期待する以上に驚かれる。何年ぶりに通りがかったら、お店がそのままあってうれしかった、という言葉に何度励まされたことか。
 気負わず迎えた十周年当日は、平日にもかかわらず多くのお客さんが訪れてくれた。花束やお菓子、ポスターなどプレゼントを用意してくれた人や、前からよく来ていたが初めて声をかけてくれた人もいて、ありがたい気持ちに。この日に合わせて、近所のピザ屋のトムが記念のステッカーを制作してくれたことや、デザイナーのヨンワンさんが店のウインドーを十周年仕様に飾ってくれたことも、忘れられない贈り物だ。
 その日の夜は、九年来の友達でありシンガー・ソングライターのイ・ランと、チェロ奏者のイ・ヘジのデュオが、素晴らしいライブを披露してくれた。昔からライブ開催を手助けしてくれるダハム君の提案もあり、感染防止のため観客を十人に限定(彼女たちの人気もあり即完売)。あわせてインターネットでもリアルタイムでライブを観賞できるように。視聴者の大半は日本からで、国境を超え時間を共有できた喜びはコロナ時代だからこそだった。
 お店でもネットでも、たくさんのおめでとうをもらったが、声をかけてくれた人のみならず、もっと多くの人たちに支えられていることを忘れないようにしたい。昔よく通っていた、あるいは一度お店に立ち寄った思い出を大事にしてくれている人、連絡は取らなくなったけどさまざまな形で関わってくれた人、いつかお店に行こうと気にかけてくれる人、そして遠くに住む友人や家族。ありがたき人たちは、どんな十年を過ごしたのだろうと想像してみる。 (しみず・ひろゆき=ライター、いけだ・あさこ=書家、金沢市出身)

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