マスク 悩める刑務所 感染予防策も 監視しづらく 富山、今月から着用「会話気付かぬ恐れ」

2020年11月28日 05時00分 (11月28日 09時54分更新)
今月になってコロナ対策としてマスク着用を指示した富山刑務所=富山市西荒屋で(山岸弓華撮影)

今月になってコロナ対策としてマスク着用を指示した富山刑務所=富山市西荒屋で(山岸弓華撮影)

  • 今月になってコロナ対策としてマスク着用を指示した富山刑務所=富山市西荒屋で(山岸弓華撮影)
 新型コロナウイルス対策として、富山刑務所は今月から受刑者にマスク着用を指示した。金沢刑務所は感染防止の観点から一貫して着用を求めている。マスクをすると受刑者同士の会話に気付かず、共謀発覚が遅れる恐れがあり、刑務所にとっては頭の痛い問題。法務省は各刑務所に対応を委ねており、矯正現場もコロナ対応で揺れている。 (高橋雪花)
 「ジレンマはあります」。受刑者のマスク着用について、富山刑務所の小林ひろみ総務部長は打ち明ける。感染対策に欠かせないマスクだが、中に物を隠したり、刑務作業中などに受刑者同士でこっそり話したりする恐れがあるといい、「職員の目を盗んで規律と秩序を乱す企てをし、いつ逃走などの大きな事件につながるか分からない」と危ぶむ。
 同刑務所では八月から今月まで、ほとんどの受刑者が居室内でマスクを着けていなかった。刑務所にはクーラーがなく、熱中症を防ぐのが最も大きな理由だという。そのため、ウイルスが持ち込まれないよう注意を払い、外部と接触する機会がある職員は感染防止対策を徹底。外部から護送されてきた未決勾留者らについては、一人部屋に二週間隔離するなどしてきた。
 しかし、コロナとインフルエンザの同時流行が懸念されることから、十一月十日から受刑者にマスク着用を通知。小林総務部長は「今まで以上に受刑者の動静を把握していきたい」と話す。
 法務省は今年四月に示したガイドラインで、受刑者にマスクを着けさせるよう各刑務所に呼び掛けている。ただ、いつどんな場面で着用するかは明記しておらず、現場の対応に委ねている。理由について同省の担当者は「マスクを着けて口の中に物を隠されたりした場合、自殺や逃走の予防、発見が遅れる可能性がある」と、現場の判断を尊重する必要性を指摘する。
 一方、金沢刑務所では今年初めのインフルエンザ流行期から受刑者へのマスク着用を徹底。コロナ感染拡大後も、集団になる状況では必ず全員に着けさせるなど細心の注意を払う。多くの受刑者は主に三、四人部屋で生活する上、刑務作業など人が集まる場面は多い。仲村浩総務部長は「刑務所はひとたびウイルスが持ち込まれると急速に拡大するリスクがある」と話す。
 刑務所内でのコロナ対策を巡っては、大阪刑務所の六十代男性受刑者が、希望者に常時マスク着用を認めることや消毒液の設置を求める人身保護請求を大阪地裁堺支部に申し立てている。男性には基礎疾患があり、コロナに感染すれば重症化する可能性があるという。

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