【SDGs】ブラジルと日本 学び合う拠点を 金沢出身・澤さん 現地で文化施設づくり 貧民街の「リアル」も発信

2020年11月28日 05時00分 (11月28日 05時03分更新)
サンバのルーツである「サンバ・ジ・ホーダ」についてインタビューをライブ配信する石橋仁貴さん(左端)と澤明日香さん(左から2人目)=オンライン画面 (澤さん提供)

サンバのルーツである「サンバ・ジ・ホーダ」についてインタビューをライブ配信する石橋仁貴さん(左端)と澤明日香さん(左から2人目)=オンライン画面 (澤さん提供)

  • サンバのルーツである「サンバ・ジ・ホーダ」についてインタビューをライブ配信する石橋仁貴さん(左端)と澤明日香さん(左から2人目)=オンライン画面 (澤さん提供)
  • ライブ配信で師匠とカポエイラを実演する石橋さん(右)=ブラジル・サルバドルで(澤さん提供)
  • クラウドファンディングのサイト「CAMPFIRE」

 ブラジル北東部バイーア州で、サンバなどのアフロ・ブラジル文化を研究する金沢市出身のグラフィックデザイナー澤明日香さん(46)らが、ブラジルと日本の文化を発信する拠点の施設を現地につくろうと奔走している。コロナ禍の今は、サンバのライブなどをオンラインで中継。「地球の両極から『リアルな暮らしや文化』を知る機会は少ない。互いに価値観を揺さぶり合えたら」と語る。 (押川恵理子)
 現地の情報やサンバなどのライブを発信するほか、いずれ海外との往来が再開されれば、アフロ・ブラジル文化を学びたい日本人らのサポートを行う。現地の若者らが日本文化を体験する企画なども展開していく考えだ。
 澤さんが暮らすのは、バイーア州の州都サルバドルにあるファベーラとも呼ばれる貧民街。そこの子どもたちにブラジル伝統の格闘技カポエイラを教えている。十五年続けるカポエイラをきっかけに「その世界観や社会、歴史背景そのものを掘り下げたくなった」と澤さん。二〇一五年、大学院進学のためブラジルに渡った。
 サンバやカポエイラなどのアフロ・ブラジル文化は、強制労働のためアフリカ大陸から奴隷として連れてこられた人々を祖先に持つ黒人たちが守り継いできた。多民族国家のブラジルだが、澤さんは「黒人以外は軽々しく参加すべきでない」といった批判や中傷を時に受けた。「多様性を誇る文化豊かな地でも、分断的思考が根付いている」と感じた。
 ファベーラでは「犯罪、貧困、差別、分断などの問題は日常」という。到着直後に流れ弾に当たったこともある。日本社会では、そうした問題を身近で体験することは少ないが「自殺やいじめ、基本的人権を無視した雇用形態、ハラスメント、コロナ禍で明らかになった差別や分断といった問題が現れている」とみる。
 差別などの問題解決の手がかりは「社会の多様性や包括性を学ぶこと」と澤さん。日本とブラジルを結び、さまざまな世界観に触れ合う機会を提供したいと考えている。
 拠点づくりに向けて共に歩むのは、福岡県でアフロ・ブラジル文化の普及を続ける石橋仁貴(ひさたか)さん(41)。今年二月、現地のカーニバルに打楽器奏者として参加するためブラジルを訪れたがコロナ禍で日本に帰国できなくなった。ピンチをチャンスに変えようと動く。
 拠点では文化交流に加え、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の「12つくる責任 つかう責任」「13気候変動に具体的な対策を」を見据えた環境教育活動も視野に入れている。

あすまで支援呼び掛け

 ブラジルと日本を文化でつなぐ拠点づくりのため、インターネットで資金を募るクラウドファンディングの大手サイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で二十九日まで支援を呼び掛けている。代表は石橋仁貴さんで、目標金額は五百万円。空き家の購入と改修費用などに充てる。

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