ウナギ人工産卵に新技術 県水産技研浜名湖分場

2020年11月26日 05時00分 (11月26日 05時03分更新)
 絶滅危惧種ニホンウナギの養殖で、県水産・海洋技術研究所浜名湖分場は二十五日、生残率の高い良質なふ化仔魚(しぎょ)を、従来の二倍得られる新たな技術を確立したと発表した。八年にわたる国立研究開発法人水産研究・教育機構(横浜市)との共同研究による成果で、担当者は「完全養殖の商業化に向けた大きな一歩」と意義を語る。 (篠塚辰徳)
 ウナギの人工ふ化は一九七三年に世界で初めて北海道大が成功した。産卵のため河川に帰ってきたサケから、産卵に必要なホルモンを抽出してウナギに投与する方法で、現在も使われる技術だが、ふ化率が低かったり、成熟しない個体が多かったりと課題があった。
 研究の中心となった同分場の田中寿臣・上席研究員(49)によると、卵を成熟させるウナギのホルモンを注射で投与し続けることで、受精の準備を促すホルモンをウナギが体内の脳下垂体に作り出すことを発見。ため込んだホルモンを脳下垂体から放出するよう促すことなどで、一匹から採れる卵の数が一・三倍に増加。ふ化率も従来の45・7%から62・4%と、約一・四倍になった。
 正常な個体の割合も高く、一匹から得られる良質なふ化仔魚が、従来の十二万二千匹から二十五万八千匹と約二・一倍に増えた。水産研究・教育機構が遺伝子工学を用いてウナギの卵を成熟させるホルモンと、受精の準備を促すホルモンの作成に成功していたことがポイントだったという。
 シラスウナギの採捕量は減少傾向にあり、二〇一四年に国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定した。現在、ウナギ養殖は天然のシラスウナギに100%依存している。天然資源に頼らないウナギの完全養殖はコスト面が課題となって商業化に至っておらず、人工のシラスウナギを生産する技術の向上が求められている。
 今回の研究は人工のシラスウナギ生産の改善につながり、田中上席研究員は「課題は残っているが、課題の大きな一つが解決でき、大幅な前進と言える」と胸を張る。

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