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育成段階から激しい『自己アピール合戦』これがソフトバンクの強さ【森野将彦評論】[日本S第3戦]

2020年11月25日 06時00分

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3回裏、周東が二塁内野安打と吉川尚(奥)の悪送球で二塁へ進む

3回裏、周東が二塁内野安打と吉川尚(奥)の悪送球で二塁へ進む

◇24日 SMBC日本シリーズ第3戦 ソフトバンク4―0巨人(ペイペイドーム)
 第3戦もソフトバンクが投打に圧倒したことで「パ高セ低」の図式が如実に浮き彫りになった。なにせ巨人は今季セ・リーグを独走で優勝。それでもロッテと熾烈(しれつ)なV争いを演じたソフトバンクにまるで歯が立たないとなれば、そんな声が大きくなるのも当然だろう。
 同じプロ野球で、これほどセ・パに力量差が出るのはなぜか。俗に言われるDH制や、ソフトバンクがいち早く導入した3軍制が功を奏しているというだけではないだろう。僕が考える理由は、簡単にいえば選手個々の絶対能力の差。この力を蓄える下地が、試合に臨む姿勢や取り組みにあると思う。
 僕は昨年まで中日の2軍打撃コーチを務め、ソフトバンクともウエスタン・リーグで対戦した。そこで感じたのは、とにかく選手が、試合の中で自己アピールするということが最優先事項という点だ。長距離砲なら長打を狙う、俊足が武器なら必死に出塁を狙う、本格派の投手なら速球主体の投球…。これをグラウンドで表現するのがベースで、その先にチームとして勝利という目標がある。逆にセ・リーグは個人より組織を優先。試合展開の中で自己犠牲してでも、組織的な動きに重きを置く傾向が強い。
 この日本シリーズを見渡しても、そんなセ・パの試合に臨む姿勢は垣間見えた。柳田を筆頭にソフトバンクの各打者は「オレが決める」と荒々しく積極的に臨んでいるのに対し、巨人の打者は坂本を含め「フォア・ザ・チーム」を意識し過ぎて慎重な印象。この日もソフトバンクは1回裏に周東、中村晃がともに初球を打ち、わずか2球でツーアウトになった。一見、投手を助けたという印象も受けるが、裏返せば打てると思った球は打つーという強い信念がなせるアプローチだ。逆に巨人は8回表1死一、二塁の好機で代打・田中俊は2ボールから3球目の内角甘めの速球を簡単に見逃した。好機ですら積極的にいけない姿勢が、この大きな差を生むのではないだろうか。
 巨人は後がなく、攻撃では失敗を恐れても仕方がない。自分のスタンスを貫くプレーで、セ・リーグ覇者の意地を見せてもらいたい。(本紙評論家)

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