県内企業 年末年始の休暇、分散要請に難色

2020年11月25日 05時00分 (11月25日 05時03分更新)
 新型コロナウイルスの流行が続く中、年末年始に人出が集中するのを避けるため、政府は休暇の分散取得への協力を経済界に求めている。だが、県内企業の多くは、趣旨は理解しつつも「簡単ではない」と難色を示す。取引先との関係などで工場の稼働計画を簡単に変えられないほか、書き入れ時の業種は「人手が足りなくなる」と指摘する。 (伊東浩一、久下悠一郎)
 来年は三が日明けの一月四日が月曜に当たるなど、日の並びの関係で年末年始の休暇が例年より短い企業が多いとみられ、帰省や初詣などで人の移動が集中する懸念がある。政府は十月三十日に経団連など経済三団体や自治体に対し、感染対策として休暇の分散取得を要請。全国知事会も十一月五日、国民や企業に同様のメッセージを出した。
 これに対し、浜松商工会議所が十月三十日時点でまとめた県西部の主要十八社の年末年始休業は、スズキやヤマハ発動機をはじめ、十二月三十日〜一月五日の七日間とする企業が最多。ほとんどが政府などの分散要請の前に決めており、これから変更するのは難しいとの受け止めが支配的だ。
 特に製造業の場合、需要の見通しや従業員の労働時間を計算しながら、工場の操業計画を緻密に立てるため、急な変更が難しい。
 ヤマハ発は、年間の操業日程を一年以上前から計画し、労使間で擦り合わせており、年末年始の休業を変更する予定はない。ヤマハも四〜五月の緊急事態宣言中に工場の操業を一時停止しており、山畑聡取締役は「生産のカレンダー(稼働日程)調整をかなりしているので、さらに追加で休むのは難しい」と語る。
 部品や機械メーカーも同様で、小楠金属工業所(浜松市西区)の小楠倶由(ともよし)会長は「主要取引先のスズキやクボタの生産計画にのっとって対応する」、桜井製作所(東区)の河合誠一郎取締役も「お客さんの注文次第の仕事。分散はない」と明言する。
 年末年始が書き入れ時の業種も、休暇の分散は厳しい。ハマキョウレックスの大須賀正孝会長は「物流はサービス業。お客さんが動けば動かざるを得ない」と強調。ゴルフ場を運営する浜名湖観光開発(湖西市)の藤田正治社長も「夏場から客足が戻っており、年末年始は逆に人手が足りない状況だ」と話す。
 あるメーカーの関係者は「休みを全社的に延長すべきなのか、職場内で分散させるのが望ましいのか、メッセージが曖昧。工場を休止すれば、その後の残業が増えることになり、今からでは対応のしようがない」と疑問を呈する。
 ただ、足元の感染急拡大を受け、事業継続の観点から従業員に旅行や会食の自粛を求める企業は増えるとみられる。従業員の間に帰省や外出を控える動きが広がる可能性もある。

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