史上初の秋開催マスターズ…同時刻開催のNFLに対抗できず視聴率は大幅減【武川玲子コラム】
2020年11月25日 06時00分
史上初の秋開催となったゴルフの祭典、マスターズ。ファンが待ちに待った大会のはずだったが、テレビ視聴率は振るわなかった。無観客にもかかわらず、1995年以来最悪の数字。最終日でも3・4%、全米560万人の視聴にとどまった。タイガー・ウッズの劇的な復活優勝を見届けようと6・9%、1080万人の視聴を記録した昨年から51%減と大幅にダウンした。
要因はいくつかあるだろうが、顕著なのはNFL、アメリカンフットボール人気に対抗できなかったことだ。やはりと思ってしまうが、同時間に放映されたFOXTVのNFLに大きく差をつけられた。
マスターズを放映したCBSも終了直後の午後4時からNFLに切り替えた。そのためマスターズを3時までに終了すべく、最終日最終組は午前9時半にスタートした。しかし、東海岸のその時間は西海岸では早朝の午前6時半。強行策のひずみが出てしまった。ダスティン・ジョンソンのマスターズ初制覇がほぼ独走状態で成し遂げられたことも、ドラマチックな戦いを呼び込まず、伸び悩んだ要因の一つとなってしまった。
ただ、そんなに悲観しなくていいのかもしれない。実は全米で2020年のスポーツTV視聴率が軒並みダウンしている。10月に開催されたバスケットボールのNBAファイナルは昨年の49%減。野球のMLBワールドシリーズも30%減という現象が起きている。
ステイホーム時世のため、視聴率が伸びるのかと期待されただけに意外な結果だった。ただしこの数字には、スマホやタブレットのアプリで視聴されたものは反映されていないという。とりわけマスターズのアプリは超優秀で、全選手の全ショットが観戦できた。コロナ禍で屋外スポーツのゴルフが人気上昇中なだけに、アプリで見た若いファンも多かったことを願いたい。(全米ゴルフ記者協会会員)
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