耐性菌の増加防止へ グラム染色検査 適切な抗菌薬 薬剤師が提案
2020年11月24日 05時00分 (11月24日 12時13分更新)
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病気を引き起こす細菌が生き延びるために変化し、抗菌薬(抗生物質)が効かなくなる薬剤耐性(AMR)問題。拡大を防ぐには抗菌薬の不適切な使用を減らすことが重要だ。この観点から、訪問診療に同行し、医師の処方に対して提案を続ける薬剤師がいる。抗菌薬の処方数は実際に減り、その成果が論文として報告された。新たな取り組みを追った。(小中寿美)
医師とともに訪問
このみ薬局大曽根店(名古屋市東区)の滝藤重道さん(36)は、老人ホームを多く受け持つ同薬局で働き始めた二〇〇九年から、医師、看護師と患者の部屋を訪ね始めた。
疑問を持ったのが抗菌薬の処方状況だ。例えば、幅広い細菌感染症に効果がある「広域抗菌薬」の一つ、レボフロキサシン。ぼうこう炎や肺炎、皮膚の感染症のほか、風邪の患者にも使われていた。ウイルスが原因の普通の風邪に抗菌薬は効かない。しかし、医師は「風邪で抵抗力が弱った時に、細菌性肺炎になるのを防げる」と処方した。
滝藤さんは「肺炎を防ぐ効果は四千人に一人」と説明する。「残りの三千九百九十九人にとっては、腸内の常在菌を殺し下痢などの副作用を招く不必要な薬」ときっぱり。
抗菌薬は、使えば使うほど、そ...
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