障害児の放課後に迫る 監督「子どもの豊かな世界、知って」

2020年11月24日 05時00分 (11月24日 05時02分更新)
ドキュメンタリー映画「ゆうやけ子どもクラブ!」の1シーン((C)井手商店映画部)

ドキュメンタリー映画「ゆうやけ子どもクラブ!」の1シーン((C)井手商店映画部)

  • ドキュメンタリー映画「ゆうやけ子どもクラブ!」の1シーン((C)井手商店映画部)
  • 「障害の有無にかかわらず、子育てする多くの人に見てほしい」と話す井手洋子監督=金沢市内で

来月シネモンド、デイサービス記録映画


 自閉症や発達障害、知的障害などの子どもたちが放課後や学校の長期休暇のときに過ごしている放課後等デイサービスの活動を追ったドキュメンタリー映画「ゆうやけ子どもクラブ!」が、十二月五日から金沢市のシネモンドで上映される。井手洋子監督は「活動を知ってもらうと同時に、子育てをする全ての親に見てほしい」と呼び掛ける。 (松岡等)
 舞台は障害児の放課後活動に四十年以上前から先駆的に取り組んできた東京都小平市の「ゆうやけ子どもクラブ」。代表の村岡真治さんは「障害児の学童保育分野の開拓者」として知られる。
 映画化は二〇一七年に井手さんがクラブ四十周年の映像を撮ってほしいと依頼されたのがきっかけ。最初は、無秩序に動き回っているように見える子どもたちを目の当たりにして、「何をどう撮っていいのか分からなかった」と井手さん。何げなくカメラを向けた指導員の研修会で、指導員が子どもたちの過去三年の行動記録を音読しながら語り合っている姿に、「そこまで丁寧にやっているのかと驚いた」。
 一年半の撮影で、さまざまなことが見えてきた。公園でひたすらダンゴムシを探す子、音に敏感で給湯室にこもる子、散歩でずっと指導員に背負われている子…。混沌(こんとん)としているようで、子どもたちの世界は実は豊かで、ゆっくりと変化しているのが分かってくる。
 例えば、最初は誰とも交わろうとせず一人で積み木に、没頭しているように見えた男の子。長期の撮影の間に作る積み木作品には人形が加わるようになり、やがてそれまで加わることのなかったフォークダンスの輪に自然に入っていく。子どもたちに、そっと寄り添う指導員たちの姿も印象的だ。
 映画では一八年の報酬改定で窮地におちいる「ゆうやけ」の状況も紹介。保護者へのインタビューで「孤独に悩む母親がいっぱいいる」と聞いたことで「映画にしなければ」という井手さんの思いも強くなった。「子どもの居場所であると同時に、親の救いにもなっている」と話す。上映は十二月十一日まで。

県内に122カ所 企業参入も増


 放課後等デイサービス事業所は、障害のある小学生から高校生までの児童・生徒が放課後や長期休暇時などに利用。小集団での活動やレクリエーションなどを通じ、自立に向けた訓練や居場所づくりが狙いで、障害児の「学童保育」とも呼ばれる。2012年の児童福祉法改正で制度化され、全国に約1万4000カ所、23万人以上が利用する。
 県によると、12年に27カ所だった県内の事業所は、今年10月1日現在で122カ所に増加。運営主体はNPO法人や社会福祉法人などで、近年は企業の参入が増えている。
 活動の内容は施設によってさまざま。能美市の「キッズMOMO」は精神科病院などを運営する医療法人が設置し、特別支援学校などに通う市内の小学生10人が利用。保健師、精神保健福祉士でもある管理者のほか認定心理士らもスタッフに加わり、児童に合わせた独自の教材を使う療育を行っている。

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