県内誘客戦略見直しも 金沢−敦賀開業遅れの見通し 

2020年11月23日 05時00分 (11月23日 09時56分更新)
観光客や市民らが行き交うJR福井駅西口。北陸新幹線県内開業が遅れると、周辺で進むまちづくりへの影響が懸念される=蓮覚寺宏絵撮影

観光客や市民らが行き交うJR福井駅西口。北陸新幹線県内開業が遅れると、周辺で進むまちづくりへの影響が懸念される=蓮覚寺宏絵撮影

  • 観光客や市民らが行き交うJR福井駅西口。北陸新幹線県内開業が遅れると、周辺で進むまちづくりへの影響が懸念される=蓮覚寺宏絵撮影

 福井駅西再開発にも影響

 北陸新幹線金沢−敦賀間の工期が一年半程度延びる見通しを国土交通省などが示した。二〇二三年春の開業に照準を合わせ、首都圏からの誘客戦略やまちづくりプランを練ってきた県内自治体や各種団体にとっては「百年に一度のチャンス」が遠のく格好。「スケジュールを見直すべきか」「客が来ないまま施設ができても…」。国や関係機関にまず求めるのは約束通りの開業。次に工期の短縮、開業時期の確定だ。 (北原愛)

■観光・宿泊地

 県は、二二年十月に開館予定の福井市の一乗谷朝倉氏遺跡博物館(仮称)と、二三年夏の増改築完了を目指す勝山市の県立恐竜博物館を観光誘客の目玉と位置付ける。朝倉氏遺跡保存協会の岸田清会長は「来年は特別史跡指定五十周年と特別名勝指定三十周年が重なる節目の年。その翌年春に新幹線が来て、秋に博物館オープンといういい流れだった」と話す。開業が遅れれば、各種イベントや企画を見直す必要も出てくる。「皆で目指してきたゴールであり、スタートなのに…。困った」
 新型コロナウイルス感染拡大で大打撃を受けたあわら市のあわら温泉。「Go To トラベル」と越前がにシーズンで息を吹き返したとはいえ、一八年の記録的大雪なども含め逆風が続く。同市への観光客数は新幹線の金沢開業効果で二十年ぶりに二百万人を突破した一五年以降、右肩下がり。「福井開業」を誘客の合言葉に踏ん張っていた温泉関係者には厳しい現実となった。
 市観光協会の前田健二会長は、北陸三県で進めてきた首都圏からの教育旅行誘致の行方に気をもむ。「修学旅行商戦は来年一、二月がヤマ場。開業が一年半遅れるとなれば、福井は参加できない」。国交省が発足させた検証委員会での議論を注視する構えだ。

■まちづくり

 県都・福井市のJR福井駅西口では、複数の再開発事業が進む。通称「三角地帯」東側のA街区は十月に工事が本格化した。新幹線開業までの完成を目指す複合ビルには米ホテルチェーン大手のマリオット・インターナショナルが進出する予定だ。
 再開発組合の市橋信孝理事長は「組合として、事業の早期完了を目指す方針に変わりない」と受け止める。ただ新幹線開業が間に合わなければ、大規模なコンベンション(会議・大会、学会)誘致を目指す県内各種団体や企業は、計画変更を余儀なくされる。
 西側に位置するB街区の再開発準備組合の藤井裕理事長は「二三年春から逆算して準備を急いでいた。半年の遅れなら準備期間と納得できるが、年単位は言語道断」と声を荒らげた。商業部分のテナントは観光客を重視して誘致する作戦だったが、新幹線開業まで時間が空くとなると再検討せざるを得ない。

■できること

 「県内の新幹線開業の準備工程は非常にタイト。それを整えるという意味ではチャンスと捉えるべきだ」と指摘するのは、県立大の南保勝・地域経済研究所長。新型コロナウイルス対策や二次交通の整備、観光やまちづくりにおける連携−。「開業効果を引き上げるために磨きをかけ、工夫を凝らす時期」と提言する。
 あわら温泉女将(おかみ)の会の山口由紀会長は「PR期間をさらにいただけたと思いたい」と、おもてなしの磨き上げを誓う。コロナ禍で中断した、嶺南六市町のおかみらでつくる「若狭路女将の会 わかさ会」との連携事業の再開にも意欲をみせる。「敦賀真鯛」など海産物のブランド化や、まちづくりに向けたシンポジウム開催に取り組んできた敦賀商工会議所の伊藤敬一常務理事も「新幹線が来ないわけではない。開業に向け、行政や関係団体と協力して臨機応変に対応したい」と前向きに語った。

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