本文へ移動

自社製品開発を計画 展開楽しみ 新家製作所社長 山下公彦さん(56)

2020年11月22日 05時00分 (11月22日 11時12分更新)
「経験を生かして、地元に戻って役に立ちたいという思いもあった」と話す山下公彦さん=加賀市宇谷町で

「経験を生かして、地元に戻って役に立ちたいという思いもあった」と話す山下公彦さん=加賀市宇谷町で

 中小企業の事業承継について、本格的に考え始めたのは昨年夏ごろです。五、六月ごろに総合重機大手IHI社内でライフプランセミナーがあり、それを機にこれからの生き方を考えたんです。
 かつては六十歳で退職するのが普通でしたが、今の高齢者はものすごく元気です。自分がもう少し長く社会の中で働くことを考えた時、サラリーマンでは限界があると思ったんです。
 起業も考えましたが、社会的な課題に関わり、役に立てることをしたいと思いました。それが中小企業の事業承継問題です。自分のスキルで、危機にある会社を今の時代に近づけることができれば、一つの課題解決になると。承継先は食品製造会社なども見学しました。でもIHIでずっとものづくりに携わってきたので、新家製作所では自分の知識や経験を生かせるし、新しい分野の開拓もできると思いました。
 一方、会社の経営は厳しい状況で、中でも前経営者の個人保証の付いた借入金をどうするかという問題がありました。中小企業が金融機関から融資を受ける場合、多くは経営者の個人保証を求められます。万が一、倒産すれば、社長が負債を全てかぶることになります。リスクを懸念しましたが、後継者が経営者保証なしで借り換えできる県信用保証協会の特別保証制度が今年四月にスタートし、タイミングよく利用できました。この制度は事業承継を決断する要因の一つになりました。
 中小企業の中には、何十年も続けていると、自分の仕事なんて大したことないと、安く見積もる傾向があるかもしれません。でも大企業であれ、町工場であれ、ものづくりの基本は変わりません。どっちがえらいとかもない。長年の営みで培われた大事な部分をちゃんと価値として認める。そして業務改善や取引先の開拓、新技術の導入で新しいものを生み出していく。社長としてそんな仕事ができたらいいなと思います。
 実は今、自社製品の開発計画を進めています。自分たちの製品があるというアイデンティティーがほしいんです。どう展開していくか、とても楽しみです。(小室亜希子)

【プロフィール】やました・きみひこ=1964年、金沢市生まれ。金沢桜丘高校、立命館大大学院理工学研究科修了。89年、石川島播磨重工業(現IHI)に入社。航空機エンジンを中心に生産技術、製造、品質管理などの業務を担当。近年は新生産拠点の開設に関わった。今年6月、早期退職。加賀市イノベーションセンターにコンサルティングオフィスを構え、中小製造業の活性化や新規事業の提案にも取り組む。東京の自宅には妻、子ども2人が暮らす。


おすすめ情報

「守る」北陸中日・石川テレビ共同企画の新着

記事一覧