【解説】記者あるある #ジブリで学ぶ新聞

2020年11月22日 05時00分 (11月23日 12時08分更新)
 スタジオジブリが無料公開を始めた映画の静止画を使い、ツイッターでハッシュタグ「#ジブリで学ぶ新聞」を付けて、記者経験者たちが大喜利のように新聞記者あるあるをつぶやいている。だが、記者でない人には分かりにくい内容もしばしば。そこで、ツイートから読み解く記者の仕事と日常について、北陸中日新聞の若手記者が自身の経験をふまえて解説します!(堀井聡子)

☆☆☆あつまれ 若手 座談会☆☆☆


~着信音が鳴ってる空耳 すごいある~

*お風呂から飛び出して「鳴り響く携帯」を取りに行く
▽島 契嗣|SHIMA Keishi [@shima_keishi]
 堀井聡子編集長(堀) まず、「お風呂から飛び出して鳴り響く携帯を取りに行く」。
 小川祥記者(小) 事実です。
 松沢侑香記者(松) えー!
 戎野文菜記者(戎) 脱衣所に置いています。
 小 リビングで鳴って、シャワー止めて簡単に体ふいて、まさにこれ。すっぽんぽんで行きます。
 堀 電話で言うと、着信音が鳴っている空耳ない?
 戎 すごいあります!
 松 ないです(笑)
 堀 松沢さんは電話って普段使いますか?
 松 使わないです。友達くらいですね。
 小 気づけば電話をかけるのに慣れてたかな。
 戎 電話が一番速いし伝わりやすくて誤解がない。
*介護施設の発表会の取材に行ったら、人生の深いお話をお年寄りから聞けて、想像してたより、「来て良かったな」としみじみ思った
▽のんちゃん [@2HHHmLN7lpVhHq]

 堀 「介護施設の発表会の取材に行ったら、人生の深いお話をお年寄りから聞けて、想像してたより、来て良かったなとしみじみ思った」
 戎 小学校の卒業式は配属3年目になると泣けました。取材でそれまでの姿を見ていて、成長したな…と親目線に。
 小 発表会ではないけど福祉フェアの取材に行ったら介助犬がいて。雑談の中で「最近病院で受け入れ拒否になった」という話があり、1面で書かせてもらった。小さな催しでも雑談からいろんな話が出てくる。
 松 記者って、警察や行政を取材するイメージでした。
 小 横浜にいたときは地域面は全然読まなかった。
 松 地域面を担当していますが、国で決めたことがどうやって地域に反映されているかが地域面でわかります。今の小学生はプログラミングをやるんだ、など発見があります。

~忙しいイメージ でも10連休とれた~

*「初めての海外旅行」直前に衆院解散のテロップが流れ旅行キャンセルを迫られる若手記者
▽田中志乃/編集 [@SHINO_TNK]
 堀 「初めての海外旅行直前に衆院解散のテロップが流れ旅行キャンセルを迫られる若手記者」。これは私は経験がある。入社1年目で名古屋にいて、石垣島旅行直前に御嶽山が噴火。一緒に行く予定だった友達には謝り倒しました。
 戎 前任地は北アルプスがあり、御来光のため山登りする人がいた。誰も遭難しませんようにって祈ってたけど、帰省前日に7人パーティーが遭難しました。
 小 俺は休みが飛んだことはあまり無い。でも以前他紙に警察の特ダネを抜かれ、お前しかいないからやってと言われた。警察担当の先輩は「ごめん、今USJにいる。彼女と来ててさ」。俺、まさにこの投稿の顔。後輩も「家族で旅行にいっています」。しょうがないか…と取材しました。
 堀 記者は忙しく旅行できない印象かもしれないけど、私は10連休もらってイタリアとトルコに行った。10連休は取れます(笑)
 松 私も海外旅行が好きなので、連休が取れそうで良かったです。

~他社の記者 やり合うからこそ仲良く~

*他社同期と飲み会の予定なはずが、待ち合わせた時間になっても自分しか来ておらず「嫌な予感がする」
▽T Fujita [@fujitaro89]
 堀 「他社同期と飲み会の予定なはずが、待ち合わせた時間になっても自分しか来ておらず嫌な予感がする」
 小 あります。他社の同年代と飲むことになり、店に行くと1人しかいない。そうしたら急に警察が会見やると連絡がありました。全然来ないと「何かあったかな」と不安になる。
 戎 他社の同世代って基本仲がいいですよね。
 小 福井は他社に同年代が多く、休日に飲んだり、スキューバダイビングやキャンプをしたり。…ちょっと、電話で抜けてきていいですか。(一時退席)
 堀 記者あるある。電話で抜けることが多い(笑)
 戎 私も前任地で他社の女性2人と仲が良かったです、仕事以外では。翌日の新聞を見て「くそー抜かれた!」と思うことも。やり合うからこそ仲良くなる。
 堀 周りの友人は新聞を読んでいますか?
 松 就活では読んでいたイメージ。でも地域面までは読んでいなかったです。
 堀 新聞の文章は難しいという意見もありますが。
 小 最初、発表文に書かれた言葉をそのまま使っていて、自分は取材して聞いているから意味が分かるけど、上司に「説明を加えないと読者は分からない」と言われた。かみ砕いて書くよう気を付けています。
 戎 私は小学生が読んでも分かるように書け、って言われました。
 堀 たくさん確認しながら原稿を書いているよね。
 小 1年目でローラーに腕を巻き込まれた労災事故の取材をしたら、先輩に「そのローラーはどっち回りなんだ」と言われ、「そこまで聞くのか」と驚きました。細部を詰めてこだわって取材している。
 堀 整理部の仕事は何が大変?
 松 例えば、略称は「サイエンスヒルズ」でいいのか「小松」も入れた方がいいのか。地元の人にとって何が当たり前なのかまだ分からない。あと、一つの記事に2本見出しがあったら、言葉がかぶってはいけない。難しいです。
 堀 記者生活で良かったことは?
 小 興味が無かったことも取材を通して興味がわく。福井で全日本バレーボール高校選手権大会の取材に行った。バレーは全然見たことなかったけど、行ったら地元校が優勝候補に食らいついて「めっちゃ面白いな!」と。それから志願して行くようになりました。
 堀 私は支局時代、木製のミニカーを作っているおじいさんの記事を書いた。ある夜、その人から電話があり「月下美人が咲いたから来やあ」と。庭でおじいさんとおばあさんと花を眺めたのがいい思い出です。
 戎 なかなかない経験ですね。
 堀 同世代の人たちに、記者や新聞のどんなことを知ってほしいですか?
 小 自分は頭がいいからでも、文章がうまいからでもなく、人と接するのが好きで記者になった。皆意外と地をはうように、汗かいて仕事しています。
 戎 地域面も若手目線で面白いと思って書いた記事があると知ってほしい。現場を走り回っているのは20〜30代が多いですよ。
 松 地元の友達にも地域面をもっと読んでほしい。ニュースアプリでも記事が読めるけど、やっぱり地元の詳しい話って新聞の地域面にしか載っていないと思う。そこを見れば、自分の地域で何が起きているか分かると整理記者になって知った。面白い記事がたくさん詰まっています。

・・・ほりいの深ぼり・・・

 ツイッターで「#ジブリで学ぶ新聞」を見つけ、思わず過去の投稿を読みあさってしまいました。くすりと笑えるものもあれば、笑えない内容まで…。町中を走り回っている若い記者たちを少しでも身近に感じてもらえたらうれしいです。

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