珠洲焼×植物 癒やしの空間 金沢 きょうから作品展

2020年11月21日 05時00分 (11月21日 10時37分更新)
100点余りを出品した宮脇まゆみさん(左)。総合園芸の徳本真一さん(右)とともに、大小の器にコチョウランや観葉植物を添えた=金沢市泉野出町で

100点余りを出品した宮脇まゆみさん(左)。総合園芸の徳本真一さん(右)とともに、大小の器にコチョウランや観葉植物を添えた=金沢市泉野出町で

  • 100点余りを出品した宮脇まゆみさん(左)。総合園芸の徳本真一さん(右)とともに、大小の器にコチョウランや観葉植物を添えた=金沢市泉野出町で

生命力あふれる100点

 中世日本を代表する焼き物の一つで、県指定の伝統的工芸品である珠洲焼に、みずみずしい植物を添えた作品展「器と植物展」が二十一日、金沢市内のギャラリーで始まる。酒器や湯飲み、皿、ビアカップが、唯一無二のオブジェに。感性豊かな女性作家がガーデニングのプロと連携し、工夫を凝らして、生命力あふれる百点余りを出品した。 (前口憲幸)
 コチョウランがピンクや薄紫色の小さな花々を咲かせる。ガジュマルやパキラ、サンセベリアなどが生き生きと葉を広げる。その器は、たっぷりとコケを蓄えた黒灰色の珠洲焼。ざらざら、凸凹で、どっしりとした存在感を放つ焼き物が、つややかで動きのある植物の魅力を際立たせている。
 出品したのは、奥能登に窯を築き、作陶を続ける珠洲焼作家の宮脇まゆみさん(47)。県内を拠点にガーデニング事業を展開する総合園芸(金沢市)社長の徳本真一さん(41)が協力し、会場の雰囲気を落ち着いた癒やしの空間に導いている。
 いわゆる植木鉢やプランターではなく、底に穴のない器で植物を育てる。上薬を使わず、窯で焼き締める独特の技法で仕上げる珠洲焼だからこそ、それが可能だ。宮脇さんは「表面に上薬がかかっていない器は、まるで呼吸しているよう」と表現する。器には、ほとんど土を入れず、二種類のコケを詰める。水やりはしない。器をそのままドブンと水に浸し、逆さまにして水を切る。宮脇さんが続けた。「世話をするたび、植物が器になじむ。珠洲焼の中の水は腐りにくい。愛情を込め、世界にたった一つの植物を育ててほしい」
 珠洲焼の知識を学び、宮脇さんの窯に足を運んで作陶を手伝ったという徳本さんは「同じ器は一つもない。植物も、そう。色や形、大きさが全部違う作品を多くの人たちに楽しんでほしい」と話している。
 ◇作品展「器と植物展」 金沢市泉野出町のギャラリー「EX POINT」で29日まで開催。時間は午前10時半〜午後5時(最終日は午後4時まで)。会場には山中漆器と植物のコラボ作品も並べる。北陸中日新聞後援。(問)総合園芸076(246)2221

【メモ】珠洲焼=平安時代末期から室町時代後期にかけ、現在の珠洲市周辺で生産された。古墳時代に大陸の陶工が伝えた「須恵器」の系統を継ぐ。最盛期には流通が日本列島の4分の1に広がるなど拡大したと伝わるが、戦国時代にいったん途絶えた。「幻の古陶」と呼ばれたが、地元で復興の機運が高まり、1989年に県の伝統的工芸品の指定を受けた。


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