大野市職員収賄疑い 工事便宜、謝礼30万円 県警逮捕 

2020年11月20日 05時00分 (11月20日 09時43分更新)
押収した資料を運び出す捜査員ら=19日午後9時45分、大野市役所で

押収した資料を運び出す捜査員ら=19日午後9時45分、大野市役所で

  • 押収した資料を運び出す捜査員ら=19日午後9時45分、大野市役所で

 大野市が昨年度に発注した林道工事を巡り、便宜を図った謝礼に三十万円の賄賂を受け取ったとして、県警捜査二課などは十九日、収賄の疑いで同市農業林業振興課長補佐、松田信哉容疑者(47)=同市土打、贈賄の疑いで建設会社「長崎組」(同市朝日)社員の長崎伸夫容疑者(65)=同市神明町=をそれぞれ逮捕した。県警によると、二人とも容疑を認めている。

 贈賄容疑の社員も

 逮捕容疑では、松田容疑者は一九年五月ごろ、市が一九年度に発注した林道工事の一般競争入札で同社に有利に取り計らい、謝礼として現金三十万円を受け取ったとされ、長崎容疑者は現金を渡したとされる。
 県警によると、松田容疑者は事件当時、同課企画主査として現場で業者と顔を合わせる立場だった。松田容疑者側から便宜を図ることについて、長崎組営業担当の長崎容疑者に話を持ち掛けたとみて調べている。
 市によると、松田容疑者は一九九二年に技師として採用され、農林整備課や建設課などを経て、二〇一四年から農業林業振興課に所属。林道工事の計画作成や発注などを担当していた。
 県警は同日夜、大野市役所を家宅捜索し、資料などを押収した。石山志保市長は「現在、事実を確認中で警察の捜査に協力するとともに事実に照らして、適正に対処する」とコメントを出した。

蜜月ぶり周囲は認識


「いつか足をすくわれる」

 大野市発注の林道工事をめぐる贈収賄事件。事件に関わったとされる大野市農業林業振興課長補佐松田信哉容疑者と長崎組の名前に、複数の職員らは驚くことなく「ああ」と、これまで両者の蜜月関係に気付いていた反応を見せた。
 同僚の一人は「市内の土木業者と広く関係があり、長崎組から飲食をおごられていたと聞いた事がある」と明かす。近すぎる関係に「いつか足をすくわれる」と危ぶむ職員もいた。「おおらかな性格もあってそのようなことを気にしている様子はなかった」と語る。
 この蜜月関係が生まれた背景に、市の構造を指摘する職員もいる。松田容疑者は調整力にたけ、技師としての発言があり、上司や同僚らの信頼は厚かった。ある職員は「市の仕事では予算ギリギリの工事をお願いしないといけないときもある。しかし交渉力にたけた松田容疑者のような職員は少ない」と話す。「松田容疑者は担当課以外の交渉もするようになり、市役所の土木業者担当のような存在になっていた」と明かす。やりとりを繰り返すうちに松田容疑者と長崎組の関係が近くなっていったとみられる。
 今回の贈収賄事件の対象工事を県警は明らかにしていない。市のホームページによると二〇一九年度の入札結果では、同年四月から松田容疑者が現金を受け取ったとされる五月までに長崎組が落札した林道工事は一件。四月二十二日に同市上大納での林道工事(予定価格千六百六十三万八千八百八十八円)に二社が応札し、長崎組が千六百十万円で落札している。主管課は松田容疑者が当時企画主査を務める農業林業振興課だった。市によると国の補正予算前倒しにより、市が二〇一八年度一般会計補正予算で執行した事業という。
 市では一九年に市教育委員会の職員が公金を着服するなど不祥事が相次いでいる。不祥事発覚後、再発防止策として研修などで綱紀粛正を図ったほか、倫理規定順守などを職員に求めていた。

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