本文へ移動

<美のありか>「空間の鳥」コンスタンティン・ブランクーシ(横浜美術館蔵) 本質極めた抽象の源流

2020年11月20日 05時00分 (11月20日 05時00分更新)
 細長い金属が、天に向かって大きく伸びている。キラキラしてきれいだ。よく見ると、この金色の物体には微妙なカーブがある。左右対称ではないところが生き物めいているような…。

1926年(1982年鋳造)、ブロンズ、石灰岩 132・4センチ×35・5センチ×35・5センチ

 いくら見ても分からないので、あきらめて背を向けた。歩み去る途中で、ちらっと振り返ってみた。あれ…? 獲物を狙う猛禽(もうきん)類が、じっと動きを止めて台座にとまっている。突然、そんな錯覚に襲われた。
 作者はルーマニア出身でパリで活躍した彫刻家コンスタンティン・ブランクーシ(一八七六〜一九五七年)。二十世紀の抽象彫刻に多大な影響を与えた。この作品のモチーフは、祖国の伝説の鳥。歌声に魔力を持つ「マイアストラ」だ。

マルセル・デュシャン  「アネミック・シネマ」 1926年、16ミリフィルム、7分、横浜美術館蔵

 これと全く同型の作品が米国に輸入された一九二六年のこと。絵画や彫刻は無税のはずが、ニューヨークの税関は「金属製品」として40%の税を課した。ブランクーシ側は提訴。「鳥に見えるか、否か」。そんな不毛な論争が一年以上続いた。判決は「鳥との関連づけに多少の困難があるが、見る者に楽しみを与え、高度に装飾的である」と、抽象彫刻を美術だと認めた。
 「この判例が、その後の美術史を変えた。米国には最先端アートが続々と持ち込まれる...

中日新聞読者の方は、無料の会員登録で、この記事の続きが読めます。

※中日新聞読者には、中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井の定期読者が含まれます。

関連キーワード

PR情報

文化の新着

記事一覧