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馬の「第1指骨」ってどこ?レシステンシアの骨折箇所を獣医師記者が解説 「第1」といっても親指じゃない

2020年11月20日 06時00分

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レシステンシア

レシステンシア

◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 マイルCSに出走するレシステンシアは、ここがNHKマイルC2着以来の休み明けだ。競走直後に骨折が判明し、北海道の社台ホースクリニックで骨片摘出を行った。秋華賞をパスした経緯もあるだけに「骨折明けだけにどうだ」というところが争点になる。
 骨折の内容を把握するには注意が必要だ。発表されているのは「左第1指骨剥離骨折」。剥離骨折は読んで字のごとし。イメージしやすいかもしれない。やっかいなのは「第1指骨」とは、どこのどんな骨かというところだろう。
 別名があってそちらの方がわかりやすい。「繋骨(けいこつ)」。読んで字のごとく、繋(つなぎ)の骨。球節のすぐ末梢側だ。
 一方で解剖学用語で「第1指」とは親指のことだ。解剖学では肋骨や椎骨のように、機能的に相同で並んでいる器官を番号で区別するとき「頭側から尾側へ」「体幹から末梢へ」「内側から外側へ」という原則がある。ヒトの指で「第1」が親指なのは「内側から外側へ」による。
 ウマは四肢とも中指、すなわち「第3指」の1本で立っており、親指に相当する部分は進化の過程で失われている。「第1指骨骨折」と聞いて「ウマにないはずの親指が骨折した?」と誤解してはいけない。
 「第1指骨」は中指における「第1」の骨だ。ほとんどの動物で指は3つの骨で構成される。適用される番号の原則は「体幹から末梢へ」。「第1」とは最も体幹に近いものということになる。ヒトの指では体幹側から順に「基節骨」「中節骨」「末節骨」との名がついているが、ウマの「第1指骨」に相当するのはヒトの「第3指基節骨」。中指の最も手のひらに近い骨ということになる。
 骨折部位による競走能力への影響は統計が取られている。第1指骨骨折は競走復帰率59%、平均休養期間265日。復帰できると獲得賞金や複勝率は罹患前から低下傾向なし。罹患による能力への影響が各種骨折の中では低い部類だ。レシステンシアに関しても、能力減衰の可能性は心配なさそうだ。

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