リニア工事 水量影響「答え出ていない」 志太3市へ説明

2020年11月19日 05時00分 (11月19日 05時03分更新)
志太3市の自治会長らに、県とJRのやりとりを説明する難波喬司副知事(壇上)=島田市中央町で

志太3市の自治会長らに、県とJRのやりとりを説明する難波喬司副知事(壇上)=島田市中央町で

  • 志太3市の自治会長らに、県とJRのやりとりを説明する難波喬司副知事(壇上)=島田市中央町で
 リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、静岡県の難波喬司副知事は十八日、島田市で開かれた志太三市(島田・藤枝・焼津)自治会長研修会で、静岡が沿線で唯一未着工となっている背景を説明した。自治会向けの説明は初めて。三市の自治会は二月に流量確保や水質保全を求める要望書を県に提出している。
 自治会長約百五十人が出席。難波副知事は、国交省の第六回有識者会議が出した「河川流量が維持されれば大井川中下流域の地下水量への影響は極めて小さい」との座長コメントに関し、工事中の一時期、トンネル湧水が県外に流出することなどから「最終的な答えは出ていない」と述べた。
 会議で一定の結論が出た場合の対応について「そのまま受け入れるということではない。県が説明し、皆さまが納得すればいいが、だめなら差し戻すことになる」との方針も示した。
 JRが環境影響評価(アセスメント)で使った解析方法の精度の低さも指摘し「話が進まない根本だ」と説明。未着工の状態が続いていることには「われわれがやっていることは当然のこと。補償が先ではなくどんな影響があるか示して最小限にする」と強調した。
 会場からは掘削土から出る重金属の水質への影響についてや「ルート変更はできないのか」などの質問が出た。難波副知事は終了後「自治会長は地域の要。直接説明するのは貴重な機会だ。なるべくこういう機会を増やしたい」と語った。
  (大杉はるか、大橋貴史)

◆自治会長らの声

 十八日の自治会長研修会では、出席した大井川流域の島田、藤枝、焼津市の自治会長から、流量減を不安視する声や、事業者のJR東海に情報を公開するよう求める声が相次いだ。
 「JRとわれわれ利水者の信頼関係が大切。以前と比べると説明しようとする姿勢は感じるが、安心できるまでにはなっていない」と話すのは、藤枝市の五十二自治会をまとめる同市自治会連合会長の小林一男さん(71)。国土交通省の有識者会議で、県の求める全面公開が実現せず、交渉役の難波副知事にも開示されない情報があることを聞き、驚いたという。焼津市自治会連合会長の岩崎四郎さん(76)も「地元の理解、賛成を求めるなら不安がなくなるよう情報を出してほしい」と同調した。
 一方、現時点でJRが地元に直接説明する機会を設けることには、「県とJRで解決すべき問題があまりに多く、説明を求める段階ではない」と三市の自治会が否定的な見解を示した。
 藤枝市葉梨自治会長の鈴木敬一さん(69)は「県側がごねて工事が進まないという印象もあったが、正当な理由で反対しているのが分かり、参考になった」。同市の青島第八自治会長の内藤忠男さん(75)は「県が地元に寄り添った対応をしているのは心強いが、静岡が悪者のままだと着工を求める大きな意見にのみ込まれてしまわないか心配になった」と述べた。
 三市の自治会ではリニア問題への関心は高いといい、島田市自治会連合会長の山田修兵さん(71)は「今回の講演を機に、各自治会からいろんな意見が出ると思うので、すくい上げたい」と語った。 (大橋貴史)

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