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<曲折の半世紀 足羽川ダム本体着工>(下)住民の思い

2020年11月18日 05時00分 (11月18日 05時00分更新)
 足羽川ダム建設に伴い、池田町では五集落の計六十八世帯が、住み慣れた土地を離れた。水没などのために移転対象となり、多くの世帯が町外へ転居した。建設を受け入れながらも、先祖から受け継いできた土地を手放す寂しさや無念さに揺れた人たちの姿が、そこにはあった。

■移転5集落

 移転対象となったのは上小畑(おばたけ)、下小畑、千代谷、金見谷、大本の各集落。部子川ダム対策委員会の事務局を務める田中共栄さん(77)は十年前、大本から福井市内に移り住んだ。「(大本は)生まれ育った場所。山があって、川があって。お客さんが来ると、おやじらは『魚捕ってくるか』と出掛けた」。人々のつながりが強く、もてなしの心を大切にした生活を懐かしむ。
 流水型の足羽川ダムは平常時は貯水しないため、完成後も集落跡は水没状態にはならない。「湖にならないから、集落があった場所が分かる。その姿を見るとみじめに思う」と田中さん。移住した後も山菜採りなどで故郷に足を運ぶが、屋敷跡には木が生え、生活のにおいが消えた集落の姿はすっかり変わった。その光景を見るたび胸が痛む。
 ただ、移住することを善悪で割り切れない地域の実情もあった。大本は「年寄り...

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