介護仲間と出会い 高校福祉科で外国人実習生と交流授業

2020年11月18日 05時00分 (11月18日 05時00分更新)
技能実習生のヘカさん(左)と交流を深める高校生ら=愛知県高浜市の県立高浜高校で

技能実習生のヘカさん(左)と交流を深める高校生ら=愛知県高浜市の県立高浜高校で

  • 技能実習生のヘカさん(左)と交流を深める高校生ら=愛知県高浜市の県立高浜高校で
 福祉科のある愛知県立高校で本年度から、生徒が介護施設で働く外国人技能実習生らと交流を深める授業が始まった。今後、外国人の介護職員は増えると見込まれ、卒業生の同僚になる可能性があるからだ。一方、慢性的な人手不足に悩む介護現場から卒業生が戦力として期待される中、高校が中学生に対して福祉科の認知度をどう上げるか課題もある。
 (福沢英里)
 「おじいさんは髪の毛が少ないからこうかな」−。十月下旬、愛知県高浜市の県立高浜高校。紙にペンを走らせるインドネシア人の技能実習生ヘカ・メガリアさん(25)を、福祉科の二年生が見守った。
 三十七人が参加した授業では、実習生と共同で、介護、健康などのテーマに沿った題材を、外国人でも分かるイラストで表現する作業に挑戦した。ヘカさんの班は地域がテーマ。女子生徒が地域に暮らす老若男女をイメージしながらイラストを描き、ヘカさんにバトンタッチ。戸惑うヘカさんを易しい日本語でサポートした。
 授業を担当したのは、高浜市の公益社団法人「トレイディングケア」代表理事の新美純子さん(49)。法人は今年三月、多文化共生社会の推進に向け、同市と協定を結んだ。インドネシアからの実習生を預かり、受け入れ先の介護施設でスムーズに実習できるよう支援する監理団体の一つ。授業にはもう一人のインドネシア人実習生、イダ・イスマイルさん(29)も参加した。
 前半は技能実習生の制度についておさらい。新美さんは「低賃金や人権侵害といった報道に目がいくが、実習生は出稼ぎではなく、真剣に技術を学ぶために来ている」と説明。ヘカさんは母国で看護師の資格があり、イダさんは助産師として既にインドネシアで働いた経験を持つ。
 後半の班活動ではイラストを描く作業の前に、新美さんが実習生の悩みを紹介。「日本人は私たちが見えていない。困っても目を合わせてくれない」「もっと日本の友達がほしい」といった内容で、実習生と対話しながら生徒たちが解決策を提案した。
 新美さんは「困っていることがないか声をかけ、あいさつするなど、一歩寄り添う姿勢が大切」と生徒たちに語りかけた。イダさんと積極的に話をしていた女子生徒は「こういう機会は初めて。外国の人とのコミュニケーションの場があったら参加したい」と興味津々の様子だった。
 同校福祉科は介護福祉士の受験資格が得られ、介護施設などへの就職を希望する生徒が約半数を占める。主任の服部浩子教諭は「介護施設では既に外国の方が活躍している。共に働く仲間として理解を深めてほしい」と見守っていた。

共生へ重要な一歩

 日本福祉大国際福祉開発学部のカースティ祖父江准教授の話 介護の世界で働きたいと希望する留学生は増えており、既に外国人が日本社会のあちこちで必要な役割を果たしている。高浜高校のように、若いうちから外国の人と交流するきっかけづくりが重要だ。実は同じ悩みを抱えていると分かるだけでも、考え方の違いも許容でき、多文化共生につながる。

小中生への周知 課題

 法務省によると、日本で働く技能実習生は昨年末時点で約四十一万人。都道府県別では愛知県が約四万二千人で最も多い。
 今回の授業は県教委の「グローバル介護人材育成事業」の一環で、五年計画。二〇一七年、在留資格に「介護」が新設されて以降、同年末に十八人だった外国人の介護職員は一九年末に五百九十二人と急増。今後も増加が見込まれ、上手に連携しながら働くことができ、リーダーシップを発揮できるような人材の育成を狙う。介護現場におけるリーダーシップについては、二二年四月からの新学習指導要領にも盛り込まれている。
 福祉科のある県立高校四校のうち、本年度は高浜高校の他、海翔高校(弥富市)も講演会を予定している。
 介護福祉士の資格取得を目指す人にとって、高校福祉科は最短距離だが、定員に満たない学校も。福祉科を進路選択の一つに加えてもらうよう、小中学生へどう周知するかが課題だ。
 県教委の担当者は「学校説明会のほか、小中学校へ出前授業に行くなど各高校で取り組んでいるのが現状。認知度を上げる方策を考えたい」と話す。

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