尿漏れ防止具 圧迫感なし 前立腺がん患者が発案

2020年11月17日 05時00分 (11月17日 05時01分更新)
着け心地を改善した尿漏れ防止器具「TOMERE」

着け心地を改善した尿漏れ防止器具「TOMERE」

  • 着け心地を改善した尿漏れ防止器具「TOMERE」
  • ループ内側に突起部を設けて血流を確保できるよう工夫した=石川県白山市で

石川発、全国100医療機関で採用


 前立腺がんの患者が自らの体験に基づいて設計した石川県発の尿漏れ防止器具の売れ行きが好調だ。伝統工芸品「牛首紬(つむぎ)」を手掛ける西山産業グループの公進都市企画(金沢市)と、公立松任石川中央病院(同県白山市)の泌尿器科の医師らが連携して製品化し、発売一年余りで全国約百の医療機関に採用された。十二月二十二日から神戸市で開かれる日本泌尿器科学会総会に出展する予定で、第二弾の医療機器も計画している。(瀬戸勝之)
 商品名は「TOMERE(トメレ)」(税込み一万一千八百八十円)。シリコン製のループに男性器を入れ、ベルトで締め付け具合を調整する。ループ内側の突起部により尿道を「点」で押さえ、血流を確保できるよう工夫したほか、柔らかな肌触りの天然シルクで全体を包んだ。
 前立腺がんの患者数は近年は増加傾向にあり、手術者数は年間約二万人に上る。術後は周囲の筋肉や神経が傷付き、数カ月間、尿失禁に悩む人が少なくない。大半は一年以内に回復するが、症状がずっと続く人も1%程度いるという。
 トメレの考案者は、二〇一六年に前立腺がんの手術を受けた西山産業の七十代の元役員。術後に尿漏れに悩み、既製品の防止器具を試してみたものの圧迫感が強く、長時間装着できなかったという。そこで「他の患者のためにも負担の少ない器具を」と思い立った。
 一七年二月、担当医だった松任石川中央病院の前田雄司医師に試作品を見せて相談すると、臨床試験によって評価してくれた。デザインについては北陸先端科学技術大学院大にアドバイスをもらい、昨年十一月に発売にこぎ着けた。
 製品化プロジェクトは県の補助制度を活用し、インターネット販売などを手掛ける公進都市企画が中心となり進めた。医療機器分野は初参入で、西山産業(白山市)が製造販売に関する厚生労働省の認可を取得した。
 前田医師は「尿失禁の根本治療には人工尿道括約筋手術が必要だが、抵抗感のある方もいる。当初は症状の重い方にと想定していたところ、軽症の方にもニーズがあった」と話す。
 公進都市企画の小高康之社長は「新型コロナウイルスの影響で学会への正式発表が遅れたが、北海道から沖縄までの大手病院に採用された」と手応えを感じており「医療機器分野に活路を見いだしていきたい」と意気込んでいる。

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