本文へ移動

【石川】無償振り袖コロナでも 児童施設出身者に成人式を

2020年11月15日 05時00分 (11月15日 11時00分更新)
成人式の振り袖を選ぶ赤坂李さん(右)と前川夏代さん(右から2人目)=金沢市のサンレー・アフロディーテ金沢店で

成人式の振り袖を選ぶ赤坂李さん(右)と前川夏代さん(右から2人目)=金沢市のサンレー・アフロディーテ金沢店で

県内でサンレー「人生の節目 大切に」


 冠婚葬祭業のサンレー(北九州市)が、成人式を迎える石川県内の児童養護施設出身者に振り袖の無償レンタルを続けている。新型コロナウイルスの感染拡大が冠婚葬祭にも影響を及ぼす中、3年目となる来年の成人式は支援を中断しようとの声も社内で出たが、県内の社員が「人生の節目を大切にできれば」と訴えて続けることに。新成人と共に晴れの門出を心待ちにしている。(押川恵理子)
 県児童養護施設協議会によると、原則十八歳で退所する施設出身者の中には振り袖を用意できず、成人式の出席をためらう女性もいた。事情を知ったサンレーは昨年一月の成人式から無償レンタルを開始。これまでに計十一人が思い思いの振り袖をまとった。来年の式では一人が着用する。
 貸衣装を扱う同社のアフロディーテ金沢店によると、振り袖一式のレンタル料金は一着十五万〜三十万円ほど。新成人側は肌じゅばんや白足袋を用意し、着付けやヘアメークにかかる費用を負担する。協議会の佐道寛会長は「振り袖などの費用は高額になる。本当にありがたい」と話す。
 「明るいピンクか赤色がいいな」。十月下旬、赤坂李(もも)さん(20)が成人式の振り袖を選ぶため、金沢店を訪れた。金沢市内の企業に勤めて二年目。小学生から高校卒業まで穴水町の児童養護施設「あすなろ学園」で暮らした。一歳上の姉もサンレーから成人式の振り袖を借り、あこがれていた。花をあしらったピンクや黒地の振り袖を試着。実際に着ると迷ったが、花びらが流れる模様が美しい水色の振り袖に決めた。
 「きれい。大人やね」。試着に付き添ったあすなろ学園保育士の前川夏代さん(47)は目を細めた。就職先に寮のある企業を自ら選んだ赤坂さん。卒園後も年頃になった子どもたちの相談に乗り、学園に寄る際は子どもたちへのお土産を必ず持ってくる。「あねご肌。自分の人生プランも持っている」と前川さん。
 二人は今も無料通信アプリLINEなどでつながっている。試着後も赤坂さんからメッセージが届いた。「来てくれてありがとう」。成長をかみしめた。赤坂さんら振り袖を借りた卒園生とは、将来の婚礼衣装をサンレーで借りて恩返しできたらと話している。
 アフロディーテ金沢店の山岸義孝支配人は「コロナだからといって、無償レンタルをやめたくなかった。思い出の成人式になれば」と話した。

関連キーワード

おすすめ情報

北陸発の新着

記事一覧