ブライトン王国詐欺事件(4)巧みな“洗脳” 梶山佑(社会部)

2020年11月15日 05時00分 (11月15日 05時01分更新) 会員限定
60代女性の義母が王見禎宏被告に金を貸したことを示す書類。一番下に「王見禎宏」の名前がある(一部画像処理)

60代女性の義母が王見禎宏被告に金を貸したことを示す書類。一番下に「王見禎宏」の名前がある(一部画像処理)

  • 60代女性の義母が王見禎宏被告に金を貸したことを示す書類。一番下に「王見禎宏」の名前がある(一部画像処理)
 「呪縛にかかっていて被害届が出てこんのや」
 捜査初期に先輩記者が残した二〇一四年当時の取材メモには、捜査関係者のうめきが残っている。
 王族の末裔(まつえい)を自称して「ブライトン王国」建国名目で三十二億円以上を集めた王見禎宏(おうみさだひろ)被告(67)と、指示役の五百旗頭(いおきべ)正男受刑者(71)。福井県警は一五年に関係先を家宅捜索したが、多くの支援者が被害とは認識しておらず、捜査は難航した。
 立件にこぎ着けたのは、民事訴訟がきっかけだった。
 一六年秋、五千五十万円を詐取されたとして、東京都内の女性が、初めて王見被告や勧誘した先輩女性ら六人に損害賠償を求めて東京地裁に提訴。約一年後に勝訴が確定した。それを機に検察が動き、一九年二月、執念の捜査の末に福井県警は詐欺容疑で支援者の女性(不起訴)を含む三人を逮捕した。
 しかし、事件の被害者はこの女性と、女性を勧誘した元先輩女性の二人だけ。ある捜査関係者は「あれは洗脳に近い。ほとんどの支援者はもう戻らないだろう」と私に漏らした。
 福井県内の六十代女性は、亡くなった義理の母の財布から小さく折り畳まれた「借用書」を見つけ、孫のために掛けてい...

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