大型サクラマス養殖成功 近大富山実験場

2020年11月12日 05時00分 (11月13日 11時16分更新)

記者会見会場に置かれた大型サクラマスと(左から)家戸敬太郎場長、笹島春人町長、車正利理事=11日、富山県入善町で(松本芳孝撮影)

 近畿大水産研究所富山実験場(富山県射水市)は十一日、同県入善町、入善漁協との共同研究で、通常より約二倍大きくなり、年間通じて出荷できるサクラマスの養殖に国内で初めて成功したと発表した。染色体を操作して寿命を延ばした上で、夏場でも水温の低い入善町の海洋深層水の水槽で養殖して成長を促し、大型化させた。
 サクラマスは富山の名産品、ます寿司(ずし)の材料で県を代表する魚。しかし近年は漁獲量が激減し、準絶滅危惧種にも指定されている現状を受け、三者が二〇一六年から共同研究に着手した。
 養殖のサクラマスは、秋ごろに産卵・ふ化させてから一年半ほどかけて育てる。夏場以降は肉質が低下するため、六月下旬までに出荷を終える必要があった。今回養殖に成功したのは、染色体の操作により作り出した「全雌三倍体」と呼ばれる特殊なサクラマスで、未成熟なまま体が大きくなるのが特徴。養殖期間を延ばし、水温の低い海洋深層水を活用すれば六月以降も肉質を保ったまま、重さ三〜五キロと通常の倍以上の大きさまで飼育できるようになった。
 十一日に同町入善海洋深層水活用施設で記者会見を開いた同研究所教授の家戸(かと)敬太郎・富山実験場長は「従来からある三倍体をつくる技術と、マスが育ちやすい、低温で良質な海洋深層水を活用できる環境が組み合わさった成果だ」と強調した。
 現在、同施設の敷地内で漁協がサクラマス養殖用の深層水水槽を管理している。年間を通じて水温が一六度を超えない二十八トン水槽一基で、全雌三倍体のサクラマス八十匹を飼育している。漁協は同日、町内の飲食店で大型サクラマスの試験販売も開始。町の新たなブランド産品化も目指している。 (松本芳孝)

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