けがで欠場…復帰も「チームのために」が空回り…J1鳥栖内定の中大DF松本大輔、恩師の叱咤で取り戻した”自分らしさ”
2020年11月11日 11時27分
◇関東大学サッカー「旬の男たち」
やっとつかんだ2勝目だった。7日に行われた第94回関東大学サッカー1部リーグ(東京中日スポーツ後援)第16節で、中大が13試合ぶりとなる勝利を収めた。専大を相手に9―2の大勝劇。来季からのJ1鳥栖入りが内定しているDF松本大輔(4年・帝京第三)の先制ヘッドが口火になった。空中戦や1対1の対人プレーに絶対の自信を持つセンターバックにとって、最終学年でのうれしいリーグ戦初ゴールだった。
ここまでの松本は苦しいシーズンを過ごしてきた。DFラインの中心として守備のとりでを築くべき立場にありながら、開幕戦で左肩亜脱臼の故障を負い、離脱を余儀なくされた。
「悔しかったです。楽しみにしていたシーズンだったので、つらいけがでした」
欠場は6試合に及び、迎えた桐蔭横浜大との復帰戦では退場処分を食らった。
さらには、チームが勝てない中で、自身のパフォーマンスも落としていった。第15節の一戦ではとうとう出番なしと試練に見舞われ続けた。
「チームに尽くさなければいけないと考えて、自分を犠牲にしてでもチームが勝つためのプレーをしようと思ったんですけど、それが空回りしました。いつもはやらないようなプレーをして、逆に自分のよさが消えてしまいました」
よかれと思ってやったたことが裏目に出た。悪循環にはまりかけたが、佐藤健監督の叱咤(しった)によって救われた。
「『難しいことを考えすぎている。おまえのよさを出すことがチームのためになる』と結構強く言われました。その通りだと気づかされて、すごくスッキリしました」
そして、スタメンに戻った第16節のゲームで本来のプレーを見せた。空中戦での競り合いでは負けず、足元でのせめぎ合いでもやられなかった。
「気楽に(試合に)入れました。活躍できるような気がしていました。自分のプレースタイルを取り戻したので、これをずっと続けていきます」
鳥栖の金明輝監督に見初められた背番号4が遅ればせながら真価を発揮していく。「人が体験したことのないくらいの谷を経験した人間だけが高い山に登れる」と語る、本田圭佑(ボタフォゴ)の哲学を胸に刻んではい上がる。
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