「いつかはクラウン」転機 セダン終了調整
2020年11月11日 05時00分 (11月11日 05時01分更新)
トヨタ自動車が高級セダン「クラウン」を現行型で生産終了するのは、限られた投資資源の中で、市場ニーズに合う車種に開発を集中する戦略の一環だ。年齢とともに購入する車のランクを上げる、かつての消費者の嗜好(しこう)は大きく変化し、ライフスタイルに合わせて選ぶ傾向が強まっている。「いつかはクラウン」のキャッチコピーのもと憧れの存在だったセダンも、車種削減の対象となる。
クラウンは、発売以来六十五年の歴史で、ステーションワゴンなど市場ニーズに対応した車形も展開。一九九〇年の販売は二十万台を超え、累計では約五百五十万台となる。十五代目となる現行型では、六十代以上が中心だった購入層の引き下げを狙い、外観などを大幅に刷新。二〇一八年には五万台を売り上げたが、昨年は三万六千台、今年は十月までで一万八千台にとどまっている。
背景には、消費者の選択肢が多様化し、かつて社会的な地位の象徴でもあったクラウンへの見方も変化したことが挙げられる。トヨタは、〇五年に高級車ブランド「レクサス」の国内展開を始め、セダンやスポーツタイプ多目的車(SUV)、ハッチバックと、幅広い車種をそろえてきた。
特にSUVは、九〇年代...
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