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空手の五輪種目存続このままでは危うい そろそろ団結しないか【山崎照朝コラム】

2020年4月4日 12時06分

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空手の代表は不透明な部分が多いが植草歩への期待は大きい

空手の代表は不透明な部分が多いが植草歩への期待は大きい

 国際オリンピック委員会(IOC)は2020年東京五輪の開催を来年7月23日に延期することを決めた。既に代表選考を終え、内定を決めている競技でも一部で再選考の動きがある。
 空手は寸止めの「伝統派」で内定候補を決めていたが、延期に伴い出場資格を白紙にし、あらためて五輪ランキングのポイント対象大会の実施で再選考することを検討している。あとは選手の頑張りに期待するだけだが、私が気になって仕方がないのは東京五輪後の存続である。24年パリ、28年ロサンゼルス大会では外れた。柔道は初実施の翌大会は逃したものの3大会目に復帰。ソウル大会では公開競技として行われたテコンドーもその後、正式競技として存続している。空手もこれに続くよう願わずにいられない。
 かつてIOCは、空手には流派の独自色が強く「空手は一つではない」と追加種目に消極的だった。伝統派の4大流派のほかにフルコンタクトが勢いを増していたため全日本空手道連盟(JKF)は東京五輪の可能性が浮上した2015年3月、極真会館(松井章圭館長)を友好団体に認定しフルコンタクト系の窓口を委ねた。
 武道を重視する空手がスポーツとして成立するための重要な条件は安全性。JKFが五輪を目標にスポーツ化を進める中、KOもあるフルコンタクトはIOCから安全性の問題を指摘され、極真会館は改善を拒否した経緯がある。
 東京五輪を目前にしたいま、「寸止め」とか「フルコンタクト」といった足の引っ張り合いは明らかに印象が良くない。伝統派にはスピード、間合い、技の切れ。フルコンタクトにはパワーと打たれ強さがある。それぞれが双方の持ち味になっている。互いの長所を融合し、外国勢に立ち向かってこそ日本の伝統武道を世界に発信できると思うのだが…。もともと空手は「空手」で一つなのだから。試合も伝統派がフルコンタクトで、フルコンタクトも伝統派のルールで戦えないというのもおかしな話だ。
 そもそもフルコンタクトを主導した極真会館は松濤館と剛柔流を学んだ大山倍達によって1994年に創設された。KOもある直接打撃で空手界に旋風を巻き起こして独立色を強めて行った。私はルールの面で双方にあるかたくなな先入観が邪魔しているように思う。
 それはフルコンタクトの学生が高校、大学で部活に参加し、伝統派ルールによる全日本選手権や数々の国際大会を制した例を見ても分かるだろう。
 フルコンタクト系が五輪を目標に掲げて活動するのは自由だが、これでは流派の争いを嫌うIOCがルールで二極化となっている空手を承認する可能性は極めて薄いと思う。1年後には初の空手メダリストが誕生する。五輪メダリストのプライドと自信はフルコンタクトのそれを上回るだろう。それが五輪メダリストのすごさであり、価値だと思っている。(格闘技評論家=第1回オープントーナメント全日本空手道選手権王者)

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