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<大波小波> 「本の日」限定、「作家の本屋」

2020年11月9日 16時00分 (11月9日 16時00分更新)
 十一月一日、本の日、ぶらりと「作家の本屋」をのぞく。東京・二子玉川蔦屋家電という書店の中に、太田靖久、滝口悠生(ゆうしょう)、高山羽根子、青木淳悟、鴻池留衣、五人の作家が店主になってミニ書店を出す、一日限定の豪勢な催事だ。
 滝口の本屋に寄ると、アナトール・フランス『少年少女』(三好達治訳、岩波文庫)という懐かしい一冊がある。「その本は、素朴なのに発見があります。子供の知覚という発見です」と店主。ふと棚の脇を見ると、『いま、幸せかい? 「寅さん」からの言葉』(滝口悠生選、文春新書)が並んでいる。A・フランスと寅さん。「素朴なのに発見がある」という鍵語で、あ、つながる、と二冊買う。私は本ではなく、本と本とのつながりを買った。
 滝口はいう。「出版状況の変化に、本の流通の仕方が追いつかない。作家が小回りの効いた営業をして、そこで得た手応えを出版社や取次(とりつぎ)へフィードバックして、必要な人に必要な本が届くようにしたい」
 作家も出版社も本を出しっ放しにできる時代はとうに終わった。作家は仕事が増えて大変だろうが、読者としては作家との距離が縮むのは大歓迎だ。作家と本、本と本、作家と読者とのつな...

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