ブライトン王国詐欺事件(3)拡大への道筋 梶山佑(社会部) 

2020年11月8日 05時00分 (11月8日 05時00分更新) 会員限定
 「王見さんがご苦労されたこと、頑張られたことに心を打たれました」。花柄のワンピース姿の六十代の女性支援者は法廷で、王見禎宏(おうみさだひろ)被告(67)をうっとりと見つめながら証言した。「いろんな人に知らせなきゃいけないと思いました」
 自分が「王族の末裔(まつえい)」だと信じる王見被告と、そんな彼を利用しようとした五百旗頭(いおきべ)正男受刑者(71)による巨額詐欺事件。二〇一二年六月ごろにこの女性支援者が加入したことがきっかけで、全国的な集金ネットワークへと変貌していった。

 人はなぜ信じるのか。福井県警が摘発した巨額詐欺事件で、計五十時間近くの傍聴記録や関係者への取材から、多くの人が「未来の王国」に資産を投じていった構図を読み解く。


ビジネス手腕発揮

 女性支援者には、人づてに商品やサービスを売る「ネットワークビジネス」の経験があった。最初こそ自腹で数十万円を支援したものの、半年後には勧誘側となって手腕を発揮した。知人を喫茶店に呼び出して説得し、会場を手配してセミナーを開催。王見被告が講師として話すと、支援者は文字どおり芋づる式に増えていった。
 「一・五倍にして返金する」という誘い文句ができたことも集金の加速につながった。発端となったのは、五百旗頭受刑者がでっちあげたとみられるエピソードの一つ。「王見氏の財産の一部を証券化した『ING銀行の利付債』を現金化するのに一千万円が必要。支援すれば五割お礼をする」という「キャンペーン」だったが、女性支援者らは決まり文句として使うようになった。
 この女性支援者は、神戸市で不動産会社と複数のジェラート店を経営するやり手の経営者でもあった。...

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