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[コラム]負けた試合の記事もスクラップ 中日・大野雄大が持つ真のエースへの資質

2019年5月9日 21時25分

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完封勝利し、ファンとタッチして喜ぶ大野雄=5月7日、ナゴヤドームで(今泉慶太撮影)

完封勝利し、ファンとタッチして喜ぶ大野雄=5月7日、ナゴヤドームで(今泉慶太撮影)

 おそらく彼の家族は喜々として紙面を貼り付けたことだろう。広島戦(5月7日)で完封勝利した大野雄大。それ以前の記録を探そうと思えば2年前のスクラップブックを引っ張り出さなければならない。
 以前大野に聞いた。入団当時から自分の記事をスクラップしているそうで「家族がやってくれているんです」とのことだった。そこで確認したのは負けた試合の扱い。「もちろん負けた時の紙面もやってくれています」
 スポーツ紙は負けても扱いが派手。それだけに本紙の歴代のドラ番記者は厳しい論調であろうと、どこかに激励の意をこめようとしてきた。ただ、こちらの器量不足もあり、行間にこめた思いが伝わらない場合もある。大野のようにすべてスクラップし、自分と向き合う選手はそうはいない。
 筆者にも経験がある。「いちばん見ているおまえに書かれたらしょうがない」と言われたこともあるが、「子どもが学校でいじめられるじゃないか」と、すごいけんまくで詰め寄られたこともある。
 事実誤認なら非は全面的にこちらにある。だが、「批判でなく応援する記事をかけ」「正式発表されてから書くのが中日スポーツだ」という論調で責められると話がかみあわなくて困った。
 有名な話だが、広島カープ時代の黒田は旧広島市民球場のロッカーに地元紙のコラムをお札のように貼り付けていた。その見だしは「もはやエースではない」。半ば伝説となったこのロッカーはマツダスタジアムに移され、保存されている。
 聞いてみると、執筆した記者は黒田とは親密だったそうで、その後、彼がメジャーリーグからカープに戻ってくるとのスクープをものにした。人間関係もあったとはいえ、見返そうなどというケチな考えは黒田にはなく、発奮を促そうという意図をしっかり読み解いていたのである。
話は大野に戻る。ご承知にように明るく、責任感の強い男である。復活の過程を見てきた仲間にとっては精神的支柱になるはずだ。器の大きさでぐいぐい引っ張り、黒田のような真のエースへの道を歩んでほしい。(増田護)

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