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「あの行動はダメ」中日・吉見が選ぶワーストピッチは被弾でなく直後の“しゃがみ込み” 学んだエースの品格

2020年11月7日 11時07分

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巨人とのCS第2ステージ第3戦、6回裏2死、ラミレスに本塁打を打たれしゃがみ込む吉見=2009年10月23日、東京ドームで

巨人とのCS第2ステージ第3戦、6回裏2死、ラミレスに本塁打を打たれしゃがみ込む吉見=2009年10月23日、東京ドームで

渋谷真コラム・龍の背に乗って


◇6日 中日 4―5 ヤクルト(ナゴヤドーム)
 通算90勝に、多くの人はこう思うはずだ。「もっと勝っていたんじゃないの?」。吉見には、それだけの信頼と安定があった。イメージより少ない勝ち星は、彼がいかに痛みと再発の恐怖との闘いに明け暮れてきたかを物語っている。そして通算56敗には改めて思う。彼がいかに負けない投手だったのかを。
 あえて吉見に「ワーストピッチ」を選んでもらった。それは通算223試合には含まれぬ一戦だ。2009年10月23日。レギュラーシーズンを2位で終えた中日は、クライマックスシリーズ(CS)第2ステージにこまを進めた。東京ドームに乗り込み、アドバンテージを含め1勝2敗で迎えた第3戦。2―0で進んだ試合は、6回2死に暗転する。アレックス・ラミレス、亀井善行に連続で被弾した。6イニング2失点で降板はしたが、打ちひしがれる内容ではないはずなのに…。
 「そうですね。でも、内容の問題ではないんです。人としては言い過ぎにしても、投手として、立場を考えたらあの行動はダメだった」
 吉見が今でも悔いている11年前の「行動」とは、ラミレスに打たれた直後にマウンドでしゃがみ込んだことだった。なぜダメなのか。吉見も記憶しているが、試合後に岩瀬仁紀から諭されている。ブルペンに控え、モニター画面でその「行動」を見ていたという岩瀬さんに確かめた。
 「吉見じゃなかったら言ってなかったかもしれないですね。それだけ期待していた、あいつはそれだけの立場にいた。だから言ったんです」
 マウンド上の投手は、常に見られている。このシーズン最多勝のエースが、打たれてしゃがみ込む姿を見せれば、味方の士気は下がり、敵の士気は上がる。打ち取られてなお胸を張るのが4番なら、打たれても凜(りん)としているのがエースのあるべき姿。吉見がこの「ワーストピッチ」から学んだエースの品格と立ち居振る舞いは、後輩に継承されるべき財産だと思う。

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