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星稜高 奥川が石川大会準決勝で流した涙の秘密 中学時代からの友との壮絶な一戦

2019年8月19日 18時00分

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石川大会準決勝の鵬学園戦で力投する星稜・奥川恭伸投手

石川大会準決勝の鵬学園戦で力投する星稜・奥川恭伸投手

  • 石川大会準決勝の鵬学園戦で力投する星稜・奥川恭伸投手
  • 星稜―鵬学園 6回表を無失点に抑えて力強くガッツポーズする鵬学園の小池田。奥川とは中学時代からのライバルだ
 正直驚いた。全国高校野球選手権石川大会準決勝の星稜―鵬学園戦。延長10回の熱戦を制して決勝へ進んだ星稜のエース・奥川恭伸投手(3年)が泣きじゃくっている。校歌を歌うメンバーの中で唯一、大粒の涙をぬぐう。理由はすぐ分かった。鵬学園の2番手投手で登板した小池田樹外野手(3年)の存在だった。
 2人は石川・宇ノ気中出身で、奥川がエースで小池田が2番手投手。野球を通じた友でありライバルだった。高校進学で道が分かれ、奥川は金沢の星稜、小池田は七尾の鵬学園へ。その2人が3年夏のマウンドで直接投げ合うとは…。野球の神様は何とも粋で、非情な舞台を用意したものだ。
 7回途中から登板した奥川が必殺のスライダーで鵬学園の各打者から三振を奪い、5回途中から登板の小池田は暑さで何度も足がつりながらも星稜打線に真っ向勝負を挑んだ。試合後、小池田が心境を教えてくれた。
 「体は限界でいうことを聞いてくれなかった。でも、『気持ちで勝つ』『自分が投げなきゃいけないんだ』と思って投げていました」。最後の夏は自分が投げ勝って甲子園に行く。そんな闘志が小池田を支えていた。
 意地をぶつけ合う対決の白眉は鵬学園最後の攻撃だった。星稜3点リードの延長10回2死一塁で迎えた2人の直接対決。カウント2―2から奥川が投げ込んだ144キロの直球を、眼光鋭くライバルをにらみつけた小池田がフルスイングした。
 高く弾んだ打球は奥川の前へ。小池田はけいれんする両足を必死に動かし前に進む。白球を捕った右腕の一塁送球は悪送球となり、一塁走者は一気に生還。小池田は二塁へ進み、勝利への望みをつないだ。「恐怖を感じました…」と振り返る奥川は続く川畑を左飛に抑えて8―6で逃げ切ったが、鬼気迫る小池田のプレーに圧倒されていた。
 試合後の2人は声を交わして抱き合った。「ありがとう。僕らの分まで絶対に全国制覇してくれよ」「分かったぞ」。そして、星稜の校歌を聞きながら泣きじゃくった。甲子園に進んだ右腕と、あと一歩で夢を絶たれたグッドルーサー。流した涙はお互いの力を認め合った証しだったのかもしれない。 (川越亮太)

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