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ホスピタルプリンスの歌でじわ~っと温まる 海蔵亮太「愛のカタチ」をもう一度聴きたい

2019年12月20日 18時00分

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病院や施設で慰問コンサートを開く海蔵亮太

病院や施設で慰問コンサートを開く海蔵亮太

 寒さが体の芯まで染みる年末にもう一度、聴き直したい曲がある。名古屋市出身で歌手・海蔵亮太(29)の「愛のカタチ」だ。認知症をテーマにした曲。子ども、自分自身の名前を忘れても、妻の名だけは覚えていたという実話が元になっている。重いテーマだが、歌声、歌詞を聴くと冷えた体の奥底がじわ~っと温まる。家族のぬくもりを思い出させてくれる。
 海蔵は4月に認知症の祖父を亡くし、病院や施設で慰問コンサートを開くようになった。繰り返すが、テーマは重い。だが、この曲の根底には家族愛がある。そして、屈託のないスマイルが場を華やかにする。テレビで見たうちの母親も「あれ。なんだっけ。そう。ヨン様みたいだね」と言っていた。でも、ホスピタルプリンスと呼ばれるまでになった笑顔の裏には、「本当に歌っていいのか」悩んだ時期もあった。
 しかしながら、患者の家族から「続けてください」と背中を押され、忘れられない出会いも経験した。記憶障害がある若い女性から「この感動だけは伝えたかった。忘れてしまうかもしれないけど」と伝えられた。後日。再び同じ病院でコンサートを行ったと聞いた。だから、願望も含めて質問した。
「覚えていたという奇跡。歌の力ってなかったのですか」
 海蔵は首を横に振ったが、その顔に失望の色はなかった。「覚えてはいなかったですね。でも、彼女のパートナーと一緒にもう一度、聴いてくれて『感動した』ってまた言ってもらえた」。初対面の時に写真を撮っていた。記憶は残らなくても、事実は残る。2度目も記念撮影をしたという。あの「感動」は消えても、もう一度、歌って「感動」の瞬間を再びつくればいい。だから、海蔵は言う。

「今を一緒に楽しみたい」

 年末-。記者にとっては寒さと忙しさで心がささくれ立つ時期でもある。だからこそ、「愛のカタチ」を聴いてホッとひと息。心を温めてから、だらしない父から家族に1年の感謝の気持ちをちゃんと述べようかな。2019年に遭遇した1曲には自然とそう思わせる力がある。(占部哲也)

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