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【石川】能登産トラフグ 養殖 安心の品質 金大海洋水産センター 

2020年11月5日 05時00分 (11月5日 10時37分更新)
「安全な養殖で能登のフグのブランド化につなげたい」と話す松原創センター長=石川県能登町越坂で

「安全な養殖で能登のフグのブランド化につなげたい」と話す松原創センター長=石川県能登町越坂で

化学物質不使用「オーガニック」技術確立 


 石川県能登地方産の高級食材トラフグの生産力強化に向け、金沢大能登海洋水産センター(同県能登町)が、飼育過程で化学物質を使わない「オーガニック養殖」の技術を開発した。寄生虫除去に、お茶由来の成分カテキンを使うなどして食の安全性向上やコスト削減を図る。地元漁師らも事業化を構想しており、産学連携で能登の水産業活性化に取り組む。 (加藤豊大)
 昨年四月に開所した、同町越坂(おっさか)の九十九湾に面したセンターの養殖施設に並ぶ大型水槽。能登沖の天然トラフグの卵をふ化させ今年四月から育てた体長二〇センチほどの肉厚な一万匹余りが泳ぎ回る。「養殖の課題はえらに付き大量死を招く寄生虫の除去。化学物質を使わず、いかに安全な能登のフグを生産するか考えてきた」。研究を主導した松原創(はじめ)センター長(45)が語る。
 一般的な養殖は、寄生虫除去に化学物質を含む薬剤を使う。松原センター長は、東京農業大の北海道網走市のキャンパスで研究していた二〇一二年、サケなど淡水魚の卵のカビ除去に有効と先行研究があったカテキンを海水魚のフグに応用。寄生虫除去の効果を実証し、特許を取得した。
 親となる天然トラフグが近くで取れ、飼育スペースなど条件が整ったセンターでは、今年十月までにオーガニック養殖で一万匹以上の大量生産に成功した。共食いを防ぐため歯を切り取る際に必要な麻酔も、炭酸水で代用可能と確認。養殖を薬剤なしで行うことで、コスト削減や環境負荷減少につなげられるという。
 現在県内にトラフグ養殖業者はなく、天然トラフグの県内水揚げ量は減少傾向。県水産総合センターによると、記録が残る範囲で過去最多の一九九五年は九・八トンだったが、昨年の四・七トンなど過去五年は五トン以下が続く。
 松原センター長は、この養殖技術が実用化されれば漁獲量や漁期に左右されない安定供給につながるとし、「生産を安定させれば、有機野菜のように安心で安全な食のブランドとして消費者にアピールできるはずだ」と語る。

漁師ら事業化構想


 研究成果の事業化を地元漁師らが構想する。親のトラフグを提供するなど研究に協力した能登町鵜川の定置網漁業会社「日の出大敷」の中田洋助取締役(33)は「町内の最新研究成果を地元で生かしたい」と、将来的に町内にオーガニック養殖の飼育施設建設を目指す。
 「将来世代が漁師を目指し能登に残るような魅力ある漁業をつくるため、魚を取るだけでなく育てることが不可欠。地元水産業や過疎化が進む町の活性化につなげたい」と話す。

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