本文へ移動

北海道産馬とスケール差100倍…“九州産馬は劣っている”を覆す期待 熊本生まれヨカヨカが背負う【ファンタジーS】

2020年11月5日 06時00分

このエントリーをはてなブックマークに追加
栗東坂路で追われるヨカヨカ

栗東坂路で追われるヨカヨカ

◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」
 ファンタジーSに出走するヨカヨカは熊本県生まれだ。熊本、宮崎、鹿児島の3県ではサラブレッド生産が続いている。九州軽種馬協会の発行している資料によると19年の生産頭数は3県合わせて62頭。北海道に比べると1%以下の生産規模だ。このため、九州産限定競走の存在によって、勝ち上がりのハードルがかなり下がる。ゆえに九州産馬は産地ゆえに地力を一枚下に見られがちだ。
 事実、実績は薄い。九州産馬によるサラ系平地重賞勝ちは05年アイビスサマーダッシュのテイエムチュラサンが最後。グレード制導入の84年以降では、これと98年小倉3歳Sのコウエイロマンの2例だけだ。
 ひとつには北海道にスケールメリットが大きすぎる。北海道の生産頭数は約7000頭。九州3県の合算と100倍以上違う。仮に両者に地力差がなかったとすると、例えば重賞級の馬の出現率は生産規模に従うはずだ。具体的には北海道で112頭の重賞勝ち馬が出る間に、九州から1頭というペースだ。これに照らすと、やはり九州産からの重賞級の馬の出現率は生産規模の比よりもまだ低い。
 原因は主に2つ考えられる。まずは血統的なハンデ。優秀な種牡馬は市場原理によって北海道の種馬場に集まる。九州の繁殖牝馬は北海道の種馬をつけたければ、往復の輸送コストを払わねばならない。
 もうひとつは育成環境。冬季も比較的温暖な九州は、厳冬期も放牧時間を長く確保できる。この部分の優劣は容易に判断できない。
 その点、ヨカヨカは有力な指標になり得る。母ハニーダンサーは現4歳キンショーダンサーを生むまで浦河にいた。父スクワートルスクワートは06年から九州で供用されているが、オープン勝ちのあるシャウトラインら、北海道産馬でも実績がある。育成はJRA宮崎育成牧場。こうした背景で、重賞レベルでも道産馬と互角に渡れるのであれば、九州の育成環境は北海道に対して決して劣っているものではないと示すことができる。ヨカヨカは、そうした意味でも、馬産地九州の期待を背負っている。

関連キーワード

おすすめ情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ