海に処理水ー「被害者は漁師」 福島、本格操業目前で放出現実味

2020年11月4日 05時00分 (11月4日 05時01分更新) 会員限定
漁師の小野春雄さん(左)。「トリチウムを海に流せば、魚は売れなくなる。説明が足りない」と話す=福島県新地町の釣師浜漁港沖で

漁師の小野春雄さん(左)。「トリチウムを海に流せば、魚は売れなくなる。説明が足りない」と話す=福島県新地町の釣師浜漁港沖で

  • 漁師の小野春雄さん(左)。「トリチウムを海に流せば、魚は売れなくなる。説明が足りない」と話す=福島県新地町の釣師浜漁港沖で
 「福島の海は、なーんでも取れる宝庫なんだよ」。漁師の声は誇らしげだった。東京電力福島第一原発事故から復活しようとしている福島の漁業に、再び暗い影がちらつく。原発から出る汚染水を浄化処理した後の水について、政府が近く、海洋放出の方針を決定しようとする中、漁業関係者は反対の声を上げている。 (片山夏子)
 十月二十一日午前二時すぎ、福島第一から北約五十キロにある福島県新地町(しんちまち)の釣師浜(つるしはま)漁港で漁船に乗った。沖合五キロに着くと、漁師歴五十三年の小野春雄さん(68)=新地町=と息子らが固定刺し網を引き上げた。マコガレイ、イシモチ、コチ、タコ。氷入りの箱に投げ込まれた魚が勢いよく跳ねる。
 原発事故後、福島では出漁日が限られた試験操業が続く。小野さんの漁は週六日から週二日に減った。来春に本格操業という矢先、放射性物質トリチウムを主に含む処理水の海洋放出が現実味を帯び始めた。
 「十年、我慢して、我慢してきた。今トリチウム流したら、魚を食べなくなると思うよ。福島の漁業はやる人いなくなっと。自殺者が出るよ」。小野さんの表情が険しくなった。
 政府の小委員会は二月、処理水の海洋放出処分...

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