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【FC東京・カップ戦3度目の頂点へ:2】04年大会MVP土肥、PK戦で浦和・山田暢との心理戦に勝利

2020年11月4日 06時00分

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2004年11月3日、優勝トロフィーを手に笑顔のGK陣、土肥(右)と塩田

2004年11月3日、優勝トロフィーを手に笑顔のGK陣、土肥(右)と塩田

  • 2004年11月3日、優勝トロフィーを手に笑顔のGK陣、土肥(右)と塩田
  • 04年ナビスコ杯決勝、浦和・アルパイ(右から2人目)のヘディングシュートを頭でクリアするFC東京の戸田(左から2人目)
◇東京アンソロジー
 2004年大会優勝の立役者は、試合の経過とともに不思議な感覚に陥っていた。
 前半29分でセンターバックのジャーンが退場し、1人少ない中で防戦一方の試合展開だった。だが、最後尾から戦況を見つめていた、GK土肥洋一(47)=現J2山口GKコーチ=は「あの退場があったから…」と言い、こう続けた。
 「言い換えれば、あそこ(ジャーンの退場で)で割り切れてみんなが同じ方向に向けた」
 ひたむきに、選手全員で浦和の強力な攻撃陣の前に立ちはだかった。その防波堤は、より強固なものになっていく。
 「このままいける」
 そう確信したワンプレーがあった。後半35分の左CKでファーサイドに上がったボールに反応しきれず、飛び出した土肥の脇をシュートが抜けていった。「やっちまった」と思った瞬間。ゴールライン際でMF戸田が頭でこれをはじき出した。
 「あの瞬間かな。やられないという雰囲気を感じ取ったのは」
 試合は延長を経てPK戦へと突入する。そこで原監督が土肥に声を掛ける。「PKに集中して1本止めろ」と。だが、そのわずか数秒後には「5番目(に蹴るのが)いねぇから、おまえ蹴るか?」に変わった。笑って「さっき『1本止めろ』って言われたんで」と言い返すと、原監督は「そうだったな」。その場が和んだ。
 PK戦は浦和3人目のFW田中達がクロスバーに当てて失敗、東京4人目のMF梶山が止められ、浦和4人目のDF山田暢に順番が回ってくる。
 「PKが始まる前に暢久(山田暢)に『もう(ナビスコ杯は)いいだろ。リーグに集中しろよ』って言ったら、向こうが少し緊張してるのが分かった。あれで、こっちの“空気”に入れられた」
 心理戦で優位に立った土肥は「暢久の性格上、ズドンはない。ギリギリで判断を変えてくる」と読みを的中させる。右に飛んだが残した足で見事に止めて、夕景の広がる国立のスタンドでMVPのボードと拳を掲げた。
 その16年後の決勝を前に、土肥はこう言葉を重ねた。
 「OBもサポーターも、あの時のひたむきな姿が見たいと思っている。その姿は見る人に必ず伝わる。コロナ禍の今、東京は感染者何人ってニュースばかりだから、(優勝して)その明るい希望となってほしい」

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