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重要なフェース面を目標に向ける“直角感”が養えます

2020年2月6日 02時00分

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 今回からは「パッティングを科学する」と題してパッティングを分析します。パッティングは「思った場所に思った強さで打つこと」が最も重要です。つまり、方向性と力加減を鍛えることがテーマになります。このうち、方向性を鍛えるための簡単な練習法があります。自宅でもできる、この練習がパッティング名人への第一歩だと言えます。早速、やってみてください。あ、畳の部屋ではできませんよ。 (取材・構成 堤誠人)

スコアの40%前後

 一般的にプロゴルファーのスコアで、パット数の占める割合は40%前後になります。上達するための手段もまちまちで、プロが練習する姿を見てもストロークを気にする人がいれば、体の向き(アライメント)を気にする人もいます。
 昔のプロは「思った場所に思った強さで打つこと」という目的を達成させるため、個性的なパッティングスタイルの選手もいました。青木功プロもオーソドックスな打ち方ではありませんでしたが、パッティング技術は一流でした。
 今は、いろいろな練習器具が売り出されています。それでも、このような個性的なパッティングで技術を磨くためには、非常に多くの練習時間をかける必要があります。

「型」で再現性高く

 パッティングは「型」で覚えることができます。他のスポーツでいえばアーチェリーやビリヤードに似ています。体全体を動かさず、必要な部分だけを動かすことによって安定感や再現性が高まるわけです。ここが、動作や動きの要素が多くを占めるショットとは違います。
 「思った場所に思った強さ」で打つためには、やってはいけないことがあります。例えば、頭が左右に動けば思った場所へ打ち続けることができません。再現性が低いということになります。パッティングの最低限の基本は何かといえば、頭が動かないことや体が動きすぎないことなどです。
 また、前週まで説明した「ボールの飛び方を決める3要素」の(1)クラブ軌道、(2)打点、(3)フェース向きも、ショットと同じく重要です。そして、これらの3要素が占める影響度の割合も、ショットと同じくクラブ軌道が約15%でフェース向きが約80%です。
 つまり、思った場所へ打つために最も重要なことは、フェース向きを目標へ向けることです。なので、あまり個性が強すぎては良くないと思います。フック回転やスライス回転が入ると、通常の転がり方をしません。できるだけストレートな回転を与えるためには、ボールに当たる瞬間はフェース向きが思った方向に向いていなければいけません。

フローリングの升目を利用して「直角感」を鍛える

感じられるまで…

 練習法は難しくありません。場所は、自宅などのフローリングの部屋で結構です。升目に沿ってパターのフェース面を真っすぐ合わせ、直角の具合を感じる「直角感」を磨いてください。
 「升目に対して直角に感じるのは、この向きだ」と感じられるようになるまで鍛えてください。この「直角感」がずれていると、かぶっていたり開いたりしていても真っすぐに感じてしまいます。
 ぜひ、フローリングの上でパターをセットして、「これが直角なんだ」という感覚を学んでください。フェース向きを正しくセットできるようになれば、パッティングが上手になる最初の条件をマスターしたといえるでしょう。

【井上透のひとりごと】

子育てのような「ティーチング」に対して「コーチング」は外科的

 プロを教える「コーチング」と、アマチュアを教える「ティーチング」は全く別物です。
 例えば、スイングの修正について。スイング改造は、いわば外科的手法です。完成度の高い選手を手術する「コーチング」には、かなりのリスクが伴います。
 一方、アマチュアに対しては、スイングを身に付ける指導が主になります。「ティーチング」はゼロからの子育てと同じようなものだと言えるでしょう。
 普段、私がプロへ教えているのは、もちろん「コーチング」です。目標は、試合に勝つことや0.1打を良くすることです。スイングなどが何も変わっていなくても、平均スコアが1打でも良くなれば、そのコーチはすごいコーチだということになります。
 外科的手法を用いる場合、どんなメリットがあるのか、という動機づけが重要になります。スイングの修正についても、「問題はスイングではなくメンタルやフィジカルにあるのではないか?」と考えます。
 スイング改造は究極の一手です。調子を落とす原因はスランプやイップスなど、さまざまな理由があります。プロの場合、よほどの根拠がない限り、スイング改造に踏み切る必要はないと思っています。
 <井上透(いのうえ・とおる)> 1973(昭和48)年4月3日生まれ、横浜市出身の46歳。大学生の時に渡米し、ゴルフ理論を学ぶ。97年に日本初のプロコーチとなり、現在は成田美寿々や穴井詩らを指導。世界ジュニアゴルフ選手権の日本代表監督を務めるなど、ジュニア育成にも力を入れる。2016年から東大ゴルフ部監督。
 取材協力 横浜本牧インドアゴルフ練習場(横浜市中区本牧原15の6グロブナースクエアB1)(電)045(228)7739
(毎週木曜日の紙面に掲載)

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