ブライトン王国詐欺事件(2)救世主の物語 梶山佑(社会部)

2020年11月1日 05時00分 (11月1日 05時00分更新) 会員限定
王見禎宏被告を「書簡」で操った五百旗頭正男受刑者(手前)も、法廷では王国の物語を語り続けた

王見禎宏被告を「書簡」で操った五百旗頭正男受刑者(手前)も、法廷では王国の物語を語り続けた

  • 王見禎宏被告を「書簡」で操った五百旗頭正男受刑者(手前)も、法廷では王国の物語を語り続けた
 英国内にブライトン王国を建国するという荒唐無稽な投資話で三十二億円以上を集めた事件。その特徴は、立件された王見禎宏(おうみさだひろ)被告(67)=詐欺罪で懲役四年六月の判決を受け控訴中=が自ら「王族の末裔(まつえい)」と思い込み、救世主となる物語を信じているところにある。
 福井地裁での公判で浮かび上がった物語は、ざっと次のような内容だった。

発端は天皇の財産

 <時は江戸時代末期。明治天皇の父に当たる孝明天皇は欧米列強による植民地化を恐れ、歴代天皇が継承する「三種の神器」や金銀の産出証明書をバチカン市国に隠す秘策を考案した。実行役に命じられた山陰地方の名家「大江家」は財産を船で運び出すことに成功し、孝明天皇から「王見」姓を賜った。しかし王見家は代々反対勢力から命を狙われ、家は洪水で流されて歴史は忘却された。
 広島県三次(みよし)市に生まれた末裔の「王見禎宏」は家庭教師や刀研ぎで生計を立てていたが、金融や不動産業に携わる中で、自分が莫大(ばくだい)な財産の「引受人」だという情報に触れた。だが既に、王見禎宏を名乗る偽者が勝手に財産を悪用しており、結果的に日本で金権政治やバブル経済が生まれてい...

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