値引き35%分「給付遅い」 GoTo 北陸の旅行業者苦境

2020年10月30日 05時00分 (10月30日 10時07分更新)

立て替え支払い 資金繰り支障も

 七月下旬から始まった政府の観光支援事業「Go To トラベル」で旅行業者が立て替えてホテルや旅館に支払う宿泊代割引分の金額が膨張し、悲鳴を上げている。石川、富山両県の業者によると、GoTo事務局からの給付金振り込みが遅く、資金繰りに支障が出かねない状況だ。(戎野文菜、辻渕智之)
 「どの旅行会社も売れば売るほどしんどいはず」
 金沢市内のある業者はそう漏らす。この会社では十一月以降の予約分も含むと八月からの立て替え払いの額が五千万円を超える。GoToで旅行業者は客から35%割引後の代金しかもらえない。一方、ホテルや旅館には割引分も上乗せして支払っているからだ。
 最初の七月(二十二〜三十一日)の立て替え分は八月に申請しGoTo事務局(本部・東京)から入金があった。八月以降の立て替え分は入金がまだ。十月から東京発着旅行も対象となり客は増加。「増えれば増えるほどつらい」と嘆く。
 観光庁によると、八月分で既に振り込めたのは全国からの申請金額ベースでまだ半分以下。
 富山県旅行業協会によれば、一般的に旅行業者が手数料としてもらうのは、旅行客が支払う額の10〜15%程度。35%分の立て替えは収益を超える。永守徹会長(68)は「翌月払い戻されればいいが、二カ月、三カ月後となると、会社の資金繰りに影響するだろう」。
 富山市内のある業者は七月の立て替え分がやっと数日前に振り込まれた。「立て替えは多い月で数百万円になる。入金が遅くなると大変」とこぼした。
 石川県旅行業協会の話では、代金は取引先の宿泊業者に前払いする場合がほとんど。信頼関係を守るため「まだ払えない」とは言えない。北敏一会長は「(六〜八月実施の)県民向け宿泊割引事業では半月とたたずに県から振り込みがあり、ありがたかった。国はルールを決めずにスタートしてお金が入ってこない状況をつくった。今は混乱の極み」と憂慮する。
 ホテルや旅館の一部も、旅行会社や予約サイトを介さずに直接予約で受けた割引分を補塡(ほてん)する給付金について「入金はいつ?」と心配する。立山山麓観光旅館組合(富山市)は、加盟する旅館の給付金を九月分から代理申請しているが、GoTo事務局に時期を問い合わせても「未確定」との回答だったという。阿部勝喜組合長(44)は「GoToは事業の仕様に変更が多く、明確にしてもらえないと不安が残る」と話す。

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