福井で連日クマ被害 新聞配達の男性重傷 

2020年10月30日 05時09分 (10月30日 12時12分更新)

クマが入ったおりを倉庫から運び出す関係者ら=29日午後0時16分、福井市稲津町で


 二十八日夜から二十九日朝にかけ、福井市の北陸自動車道福井インターチェンジ付近に相次いでクマが出没した。市によると、新聞配達中の男性が大けがをしたほか、別の男性を襲ったとみられるクマが近くの住宅の車庫に一時立てこもった。

 住宅車庫に侵入も 

 二十九日午前三時五十分ごろ、同市篠尾町の山際にある集落で、新聞配達をしていた男性(69)がクマに顔を引っかかれて重傷を負った。男性は自宅に戻った後、家族が市内の病院に連れて行き、手当てを受けた。クマの行方は分かっていない。
 同日午前六時四十分ごろには、同市稲津町の住宅で、住人の男性がシャッター付きの車庫の中に成獣のクマ一頭がいるのを見つけた。シャッターの隙間から入り込んだとみられる。クマは車庫内に立てこもっていたが、午前十一時四十分ごろ、県職員に麻酔銃で撃たれ、ドラム缶のおりに捕獲後、駆除された。市によると、雌で体長一メートル、体重三〇キロ。
 近くに住む六十代女性は「こんな所までクマが来るなんて考えられない。よほど山に食べる物がないのだろうか」と話していた。
 稲津町の同じ集落では二十八日午後六時半ごろ、男性がクマに引っかかれ右足に軽いけがをする被害があり、市はこのクマが立てこもったとみている。
 県内は餌となるドングリが凶作のため、食べ物を求めるクマが市街地に出没している。県によると、今年の人身被害は、今回の新聞配達の男性を含め十二人。過去最多だった二〇〇四(平成十六)年の十四人に迫っている。

市民の安全確保に向けて危機感を共有し、クマ対策の体制を確認した会議=29日、福井市役所で

 情報周知迅速に 市が対策本部設置

 福井市は二十九日、クマ対策本部会議を市役所で開いた。対策本部(本部長・林岳宏農林水産部長)の設置は二〇〇六(平成十八)年度以来。近年にない大量出没や二十八、二十九両日に人身被害が相次いだことを受け、出没情報の市民への迅速な周知やパトロールの拡充など体制強化に向けて意見を交わした。
 会議には市や県、県猟友会、警察の関係者ら四十人が出席した。二〇年度の県内出没件数は九月末で五百七十一件に上り、統計を取り始めた〇四年度以降で最多。十月以降も嶺北で急増し、福井市内も今月だけで五十三件(二十九日午後一時現在)確認されている。
 市有害鳥獣対策室の担当者は「河川や水路を通り道に、山際だけでなく平野部に近い集落にも出没している。どこに出てもおかしくない」と現状を説明。出席者からは「早朝に出没した際の小中学校への連絡体制はどうなっているのか」「被害を出さないためには、住民への迅速な周知が大切だ」との指摘があった。
 警察関係者からは、市北部の大型商業施設近くでクマが出た際の市の対応に対し「早急に現場に来ていただきたい。おりや麻酔銃の用意も時間が掛かりすぎ」と改善を求める指摘もあった。市は改めて捕獲体制を確認するとともに、パトロール強化などに取り組む。 (北原愛)

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