天浜線・高齢者死亡事故 運輸安全委が報告書

2020年10月30日 05時00分 (10月30日 05時01分更新)
死亡事故を受け、遮断機が設置されることになった天竜浜名湖線の踏切(手前)。奥が遠州鉄道の踏切=29日、浜松市天竜区二俣町で

死亡事故を受け、遮断機が設置されることになった天竜浜名湖線の踏切(手前)。奥が遠州鉄道の踏切=29日、浜松市天竜区二俣町で

  • 死亡事故を受け、遮断機が設置されることになった天竜浜名湖線の踏切(手前)。奥が遠州鉄道の踏切=29日、浜松市天竜区二俣町で
 二〇一九年十二月二日、浜松市天竜区二俣町の天竜浜名湖鉄道西鹿島駅近くの踏切で、歩行中の女性=当時(84)=が列車にはねられて死亡した事故について、運輸安全委員会は二十九日、踏切では警報音が鳴っていたが、女性は踏切を渡った先にある別の踏切の警報音と誤認して進入した可能性があるとする報告書を発表した。現場の踏切には遮断機がなく、天浜鉄道は十二月、再発防止のため遮断機を設置することにした。 (高島碧)
 現場は駅の約二百五十メートル南にある藤ノ木坂踏切で、隣接して遠州鉄道の踏切がある。事故が発生した十二月二日午前九時二十四分ごろは雨が降っていた。女性は新所原駅発天竜二俣駅行き列車にはねられた。
 報告書によると、先に遠鉄の踏切の警報機が鳴り、遮断機が下りた。その直後に天浜鉄道の警報機も鳴り、両鉄道の列車がほぼ同時に踏切内を通過した。女性は右耳が不自由で、傘に当たる雨音で警報音を聞きづらかった可能性がある。青紫色の傘だったため警報機の赤色灯が見えづらく、停止線に立つと赤色灯の背面カバーしか見えない状況だった。
 運輸安全委の調査官は「天浜鉄道は本数も少なく、傘の影響で、意識が前方の遠鉄に集中してしまったのではないか」と推測する。
 事故を受け、天浜鉄道は警報機の赤色灯をどの方向からでも確認できるように取り換え、浜松市は注意喚起の看板を設置するなどした。調査官は「今回のように線路が混在する場所では遮断機の設置が重要だ」と指摘した。
 事故があった藤ノ木坂踏切では、二〇一六年にも女子中学生の自転車と列車が接触し、軽傷を負う事故が起きている。昨年十二月の死亡事故後に見えやすい赤色灯に替えられ、注意を促す表示も増えたが、近くに住む人たちからは「遮断機が設置されない限り、根本的な解決にならない」との声が相次いでいた。
 「子どもができた頃から『あの踏切には絶対に行かせるな』と義父から強く言われてきた。大人でも極力避けている」と、小学二年の子を持つ近くの女性(45)は話す。
 過去に何度も事故が起きているため、西鹿島駅へ行くのに遠回りして藤ノ木坂踏切を避ける人も多いという。
 すぐ近くに遠州鉄道の踏切があり、警報音だけではどちらの踏切が鳴っているのか分かりにくいのが現状だ。
 女性は「亡くなった人は毎日散歩で通っていたが、それでも(列車の接近に)気付かなかったらしい。そもそも赤電(遠州鉄道)に遮断機があるのに、天浜線にないのはおかしい。一日も早く設置してほしい」と不安そうに話した。 (南拡大朗)

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